2013 Fiscal Year Annual Research Report
細胞質交換法を駆使した神経分化過程及び病態時のミトコンドリア形態制御機構の解明
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23657124
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
村田 昌之 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (50212254)
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Keywords | シグナル伝達 / 神経科学 / 細胞・組織 / 発生・分化 / セミインタクト細胞 |
Research Abstract |
神経細胞N14.5の分化初期過程におけるミトコンドリア断片化を活性化させる候補因子として、ミトコンドリア外膜に結合することが知られているDrp1を同定した。また、GSK3βの活性を阻害することで知られているLiClで細胞を処理したり、または、GSK3βをノックダウンした細胞では、上記のタンパク質・Drp1のSer265のリン酸化が阻害されていることも発見した。Drp1のSer265は、細胞分裂期(M期)のマスターキナーゼであるcdc2キナーゼによってリン酸化され、それによって細胞質からミトコンドリア膜に移行するDrp1がM期におけるミトコンドリア断片化を促進することが知られている。以上の結果より、神経細胞分化の初期過程に見られるミトコンドリアの断片化は、GSK3βの活性化によるDrp1のSer265のリン酸化によって誘起される可能性が出てきた。今後、GSK3βの活性制御機構研究を通して神経細胞分化過程のDrp1を含むキナーゼネットワーク解析の重要性を示唆することができた。これとは別に、アルツハイマー病モデルマウス(ApoE(-/-)マウス)脳から調製した病態細胞質をセミインタクトN14.5-Tom5細胞内に導入し、リシールして「病態神経モデル細胞」を作成した。この病態神経モデル細胞では、ミトコンドリア形態の伸長化が観察され、Akt活性の低下や、ミトコンドリア依存的なATP産生能の低下が検出された。これらの結果を総合的に考察すると、神経病態(例えば、アルツハイマー病)発現とミトコンドリア形態の関係を研究する上では、病態細胞内でのAktによるDrp1のリン酸化状態の制御機構の撹乱を研究することの重要性と、その研究ツールとしてわれわれの作成した病態神経モデル細胞の重要性が示唆された。
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[Journal Article] PPARγ-induced PARylation promotes local DNA demethylation by production of 5-hydroxymethylcytosine2013
Author(s)
Fujiki, K., Shinoda, A., Kano, F., Sato, R., Shirahige, K., Murata, M
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Journal Title
Nature Communications
Volume: 4
Pages: 2262
DOI
Peer Reviewed
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