2012 Fiscal Year Annual Research Report
SRP経路を介した膜局在化による熱ショック転写因子シグマ32の分解機構
Project/Area Number |
23657128
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森 博幸 京都大学, ウイルス研究所, 准教授 (10243271)
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Keywords | σ32 / SRP / Ffh / SecY / FtsH / 熱ショック応答 / 分子シャペロン |
Research Abstract |
「細菌の熱ショック応答に関わる転写因子σ32の分解に、膜タンパク質の組み込み反応時に機能するSRP(シグナル認識粒子)、FtsY、SecYEGトランスロコンらの因子が関与する。」との由良隆博士らの提唱した新しい作業仮説の実証を目指して、σ32分子を対象としたin vivo光架橋実験を行った。その第1段階として、σ32の安定性に関与する事が知られている2.1領域と呼ばれる領域をターゲットに解析を進めた。この領域内に光反応性のアミノ酸アナログpBPAを部位特異的に導入したσ32変異体を細胞内で発現させ、光架橋実験を行った所、幾つかのpBPA変異体において、大腸菌の分子シャペロンDnaK, DnaJに加えて、SRPを構成するタンパク質因子Ffhとの架橋が観察された。これらの結果は、由良らのモデルを強く支持するとともに、σ32とFfhが生細胞内で直接相互作用している事を示す最初の例となった。 更に、σ32の分子シャペロン発現に応答した負の制御が不全となるsecY40変異株や、FtsYの発現量低下変異株中で同様のin vivo光架橋実験を行うと、上記σ32とFfhとの間の架橋産物の形成効率や、架橋バンドの大きさが変化することを見いだした。これらの結果は、Ffhとσ32間の相互作用様式や程度が、FtsYやSecYの変異により変化している事を示唆しており、上記作業仮説と矛盾しない。また、σ32を負の制御が不全となる変異をcisに導入した場合においても、同様の架橋形成効率の変化が観察された。これらの結果も作業仮説を支持する。 今後は、pulse-chase実験を組み合わせた架橋の経時的変化を追跡する事により、新規作業仮説の妥当性をより詳細に検討して行く予定である。
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Research Products
(3 results)