2012 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内共生細菌ボルバキアのオルガネラコミュニケーション
Project/Area Number |
23657133
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
北田 栄 九州工業大学, 情報工学研究院, 准教授 (20284482)
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Keywords | ウォルバキア / 共生 / 節足動物 / 遺伝子 / ゲノム / 感染 / ミトコンドリア / 細胞 |
Research Abstract |
ウォルバキアは、昆虫などの節足動物や線虫類の細胞内に共生するα-プロテオバクテリアに属する細菌で、宿主の生殖や発育に大きな影響をおよぼす。しかし、ウォルバキアがどのようにして安定的に宿主細胞内に共生しているのか、その分子メカニズムは分かっていない。全ゲノム配列が決定しているウォルバキア5種それぞれの推定タンパク質群のアミノ酸配列データをKEGGデータベースから得た。5種のアミノ酸配列データを全ての組み合わせにおいてBLAST検索を行いidentityが90%以上の配列を選別した結果、4種のウォルバキアのゲノムに共通して保存されている3つの推定タンパク質を特定した。それら3つの推定タンパク質の一次構造からハイドロパシー分析を行ったところ、疎水性領域は少なく、いずれも可溶性のタンパク質である可能性が高いことが分かった。次に、カイコ卵巣由来のBmN4細胞と、ヒメトビウンカを宿主とするウォルバキアに感染したaff3細胞を用いて、培養と継代を行った。まず、ウォルバキアに感染したaff3細胞からBmN4細胞へのウォルバキアの感染を試みた。次に、今回特定した3つの推定タンパク質がウォルバキアのゲノムにコードされていることを検証するために、それぞれ遺伝子に対するプライマーを設計しPCRを行った。その結果、どの遺伝子においても目的のPCR生成物が検出されたため、3つの推定タンパク質がゲノムにコードされていることが確認できた。今回特定した3つの推定タンパク質が細胞内で発現していれば、それらがウォルバキアの共生の分子機構に関係している可能性は高いと考えられる。また、先の報告をもとにウォルバキアをマウス培養細胞に作用させたところ、本来、接着細胞であるマウスの細胞の接着性が大きく低下し、培養細胞の形態に変化を与えたが、マウス細胞にウォルバキアが感染しているかは確定できていない。
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Research Products
(7 results)