2013 Fiscal Year Annual Research Report
リン酸化・脱リン酸化酵素が構成する「相互抑制ループ」の解析
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23657134
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
持田 悟 熊本大学, 大学院先導機構, 特任助教 (60590304)
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Keywords | 細胞周期 / タンパク質リン酸化 |
Research Abstract |
細胞機能に関わるENSAのリン酸化による制御の解析を引き続き行った。昨年度までに分かってきたENSA中央領域にある二つのチロシン残基のうちの一つであるTyr70残基について、更なる解析を行った。Tyr70残基はそれ自身が何らかのチロシンキナーゼによってリン酸化される可能性と同時に、この残基がGreatwallキナーゼによるSer67残基のリン酸化に必要であることが分かった。Tyr70残基をアラニンに置換したENSA変異タンパク質は、Ser67残基のリン酸化効率が1/3程度に低下した。このことからTyr70残基がリン酸化された場合には、逆にSer67残基のリン酸化が更新することも考えられる。一方でSer67残基を挟んで反対側(N末端寄り)にあるTyr64残基の置換変異は、Ser67残基のGreatwallキナーゼによるリン酸化には正負ともに大きな影響を与えなかった。以上の結果はTyr70残基のリン酸化がSer67残基のリン酸化に細胞内でも影響を及ぼす可能性を示唆しており、細胞の増殖開始シグナルが分裂期の制御にも何らかの形で関わっているのかもしれない。その中でENSAタンパク質は複数残基のリン酸化によって制御されることによって、その両者の接点となる分子なのかもしれない。これまでに細胞周期制御因子の中でチロシン残基がリン酸化されているものはごく限られており、ENSAのチロシン残基のリン酸化は非常に珍しく、それだけに重要なものと考えられる。
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Research Products
(1 results)