2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23657136
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
吉田 秀郎 兵庫県立大学, 生命理学研究科, 教授 (60378528)
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Keywords | 細胞生物学 / オルガネラ / ゴルジ体 / 小胞体 / ストレス応答 / 転写制御 / 糖鎖 / 神経 |
Research Abstract |
細胞小器官の量は細胞の需要に応じて厳密に制御されている。研究代表者はこのような細胞小器官の量的調節機構を明らかにすることを最終目標としている。これまでに小胞体の量的調節機構である小胞体ストレス応答の分子機構を解明し、現在はゴルジ体の量的調節機構であるゴルジ体ストレス応答の分子機構を解析している。ゴルジ体ストレス応答の経路の一つであるTFE3経路を明らかにしたが、ゴルジ体ストレスの実体かについては不明であった。そこで本研究課題では、ゴルジ体の機能を不足させる様々な処理を細胞に行うことによってゴルジ体ストレス応答が活性化されるかどうか調べ、ゴルジ体ストレスの分子的実体を明らかにすることを試みた。 前年度までの研究から、ゴルジ体での糖鎖付加を阻害剤によってブロックするとTFE3経路が活性化されることから、ゴルジ体での糖鎖修飾の不全がゴルジ体ストレスの原因となっていることが示唆された。しかしながら、阻害剤のような化学物質は、期待する効果(糖鎖修飾阻害)以外に副作用として無関係な過程を阻害することでゴルジ体ストレス応答を活性化している可能性がある。そこで今年度は、遺伝子的に糖鎖修飾を阻害して、ゴルジ体ストレス応答が活性化されるかどうか調べることにした。CMP-シアル酸トランスポーター遺伝子に変異を持つLec2細胞では、ゴルジ体でのシアル酸付加が起こらなくなることが知られている。そこで、Lec2細胞でゴルジ体ストレス応答が活性化されているかどうか調べたところ、TFE3の活性化(脱リン酸化と核移行)が見られた。この結果は、ゴルジ体での糖鎖付加不全によってゴルジ体ストレス応答が活性化されることを示している。今後は、糖鎖不全のどのような分子的特徴がゴルジ体ストレス応答を活性化しているのか、ゴルジ体ストレスのセンサー分子を単離・解析することによって明らかにしようと考えている。
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