2012 Fiscal Year Research-status Report
細胞タイプ特異的RNAiを用いた個体発生を支える細胞動態調節解析法の確立
Project/Area Number |
23657139
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
久保田 幸彦 東北大学, 生命科学研究科, 助教 (70333325)
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Keywords | RNAi / C. elegans / 遺伝子ノックダウン |
Research Abstract |
発生過程で多くの遺伝子は、さまざな発生段階で機能する。発生初期に機能する遺伝子は、発生後期の機能を調べるのが困難である場合がしばしば生ずる。また、個体ではさまざまな細胞種が協調的に働いている。特定の遺伝子のノックダウンによる表現型が、着目した遺伝子がどの細胞で働くことに起因するかについても不明な点が多い。そこで我々は、線虫胚形態形成期に特定の細胞種でのみ特異的に遺伝子の機能を破壊可能な株を樹立することを目的とした。方法は、RNAiパスウェイの主要遺伝子rde-1およびrde-4遺伝子に着目した。rde-1およびrde-4の遺伝的背景ではRNAi機構が異常となるが完全ではない。我々はrde-1, rde-4二重変異体の遺伝的背景ではRNAi機構の破綻がさらに顕著になることを期待した。まず、表皮細胞種に着目した解析系の構築ををおこなうことにした。表皮細胞で特異的にRNAiノックダウン可能な株の作成のため、本年度は、GFP::rde-1に加えて、表皮細胞で特異的にmCherry::rde-4を発現するコンストラクトの作成に成功している。しかしながら、いまだにrde-1,rde-4二重変異体に対し両遺伝子を表皮細胞でのみレスキューできる株の作成には成功していない。今後は、上記二つの変異と二つのトランスジーンを共存させ安定的にRNAi解析が行える株の作成に向けて勢力的に実験を遂行する必要がある。株の作成後は、表皮形態形成における細胞骨格リモデリングや表皮細胞の移動や変形に関わる遺伝子などの表皮特異的なノックダウンの効果を解析するなどして研究課題の達成を目指したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
表皮細胞で特異的にRNAiノックダウン可能な株の作成のため、本年度は、GFP::rde-1に加えて、表皮細胞で特異的にmCherry::rde-4を発現するコンストラクトの作成に成功している。しかしながら、いまだにrde-1,rde-4二重変異体に対し両遺伝子を表皮細胞でのみレスキューできる株の作成には成功していないことから。
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Strategy for Future Research Activity |
研究課題を進めるには、rde-1,rde-4二重変異体に対し両遺伝子を表皮細胞でのみレスキューさせる株の作成が必須である。来年度は、上記二つの変異と二つのトランスジーンを共存させ安定的にRNAi解析が行える株の作成に向けて勢力的に実験を遂行する必要がある。株の作成後は、表皮形態形成における細胞骨格リモデリングや表皮細胞の移動や変形に関わる遺伝子などの表皮特異的なノックダウンの効果を解析するなどして研究課題の達成を目指す。また、別のアプローチとしてnonsense mediated RNA decay機構を利用した、特定の細胞腫のみ遺伝子ノックダウンする手法が開発された(Maher KN , Genetics, 2013)。この方法を用いた表皮細胞でのみ遺伝子ノックダウンする株の作成についても検討の必要がある。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の使用額は、当初計画していた「rde-1,rde-4二重変異体に対し両遺伝子を表皮細胞でのみレスキューできる株の作成」を次年度に作成することに変更したことにより生ずるもので、次年度以降に作成し解析する線虫株の作成に必要な経費として、平成25年度に請求額とあわせて使用する予定である。(物品費:288313円)
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