2013 Fiscal Year Annual Research Report
細胞タイプ特異的RNAiを用いた個体発生を支える細胞動態調節解析法の確立
Project/Area Number |
23657139
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
久保田 幸彦 東北大学, 生命科学研究科, 助教 (70333325)
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Keywords | C. elegans / 形態形成 / 細胞動態 / RNAi / 遺伝子ノックダウン |
Research Abstract |
本研究課題では、細胞タイプ特異的なRNAiを用いた細胞動態解析法の確立を目指した。私たちは、ライブイメージング観察可能でダイナミックな細胞動態を示す線虫胚後期にみられる形態形成に着目した。線虫胚形態形成期に特定の細胞種でのみ特異的に遺伝子の機能を破壊可能な株を樹立し、細胞動態を解析する実験系を確立することを目的とした。本研究では、表皮細胞種に着目した解析および線虫株の作成(1-2)を行った。 1、GFP/mCherryタグをもたせた細胞骨格系、ヒストンや細胞接着分子の動態を線虫胚形態形成期にライブイメージングできる解析法(画像の取得から画像解析まで)を確立できた。それらの株を用いて、表皮細胞の微小管動態の制御に転写制御にかかわるPAF1 複合体が重要な役割を果たしている可能性を明らかにした(Kubota et al., Dev Biol , in press)。これまで、線虫胚表皮形態形成はアクチン細胞骨格系の制御が重要であることが明らかになっていた。この研究から我々は、さらに微小管を介した表皮形態形成の制御経路の存在を示唆することができた。さらに、転写制御因子・PAF1複合体が表皮細胞のポジショニング、細胞移動および細胞変形に重要な働きを示す可能性を明らかにした(Kubota et al., Dev Biol , in press)。 2、一方、安定的に細胞タイプ特異的にRNAi解析が行える株の作成に向けて勢力的に実験を遂行した。しかしながら、表皮特異的なノックダウンの効果を解析できる株の作成には至っていない。この原因の一つとしては、特定のタイミングにおけるRNAi効果が当初期待したほど高くない可能性が考えられる。今後は遺伝子ノックダウンやタンパク質の破壊法については別のアプローチに変更するなどして、細胞タイプ特異的な形態形成制御因子ノックダウン解析系の樹立を目指したい。
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