2012 Fiscal Year Research-status Report
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23657144
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
高木 新 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (90171420)
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Keywords | 分化運命決定 / 転写因子 / 線虫C. elegans |
Research Abstract |
iPS細胞作成に代表されるように、ほ乳類培養細胞では細胞の運命決定・分化を遺伝子発現操作によって人工的に変更することが可能となった。この分野の長足の進歩に鑑み、本研究では分化・運命決定の安定性維持機構解明のための動物生体を利用した新規実験系の樹立を目指して、C. elegans個体内での細胞運命転換・分化転換・脱分化誘導を試みる。 hlh-3, hlh-6, hlh-14; ceh-6, unc-86; ekl-2および hlh-2 の共発現によって幼虫で異所的神経細胞形成が誘導されたという昨年度の成果を受けて、本年度は因子の絞り込みを試みた。 その結果、hlh-14とhlh-2の2因子のみの発現でも異所的神経細胞が生ずるが、それぞれの単独発現では誘導されないことを見いだした。 2因子発現で体側に出現した異所的神経細胞は感覚神経細胞マーカーを発現しておりPDEニューロンである可能性が高いと考えている。一方、7因子発現で体側に発現した神経細胞は感覚神経細胞マーカーを発現しておらず、UNC-86がその原因ではないかと予想される。 また、IR-LEGOによる単一細胞遺伝子発現実験系を利用して異所的神経細胞の起源の特定を試みており、体側面の表皮細胞から異所的神経細胞が分化する場合があることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
神経細胞への分化転換の試みに関しては、分化した神経細胞の特性解析、分化した細胞の起源解析にかんして、ほぼ計画通り研究が進展した。 未分化細胞の誘導の試みに関しては、予定したcDNAが得られていないものがあり、発現実験がまだ行えておらず、計画から遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
線虫個体内での異所的神経細胞形成には細胞周期の特定時期での転写因子遺伝子発現が必要性である、という可能性の検討のために、新たな表皮細胞形態マーカーの作製・導入が必要となった。一方、幼虫細胞のiPS化プロジェクトに必要なcDNA種のなかにバンクに存在しないものがあり、形質転換系統作製が完成せず、未使用額が発生した。このcDNA種はこれまでRT-PCRによって回収できておらず、今後、cDNA作成法を工夫して再挑戦する必要がある。以上の作業は、本研究の遂行と展開のために重要であるが、時間的に24年度中に解決できなかった。 今後これらの問題を解決する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記の課題のために、表皮細胞形態マーカー作製、転写因子cDNA作製のための組換えDNA関係の酵素・キットおよび、線虫培養様プラスチック皿、線虫形質転換体作製用ガラス管類、および観察用の水銀ランプなどの消耗品を購入するために70万円使用する。
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