2012 Fiscal Year Annual Research Report
終脳新皮質層個性を生みだす発生プログラムの古い起源
Project/Area Number |
23657151
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
平田 たつみ 国立遺伝学研究所, 総合遺伝研究系, 准教授 (80260587)
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Keywords | 神経 / 進化 / 発生 / 大脳新皮質 |
Research Abstract |
ほ乳類の大脳皮質の大きな特徴は「層構造」である。性質の似た神経細胞が一列に並んで整然とした層を形成する。この層構造は、全ての哺乳類に共通して観察されるが、鳥類や爬虫類など哺乳類以外の動物には認められない。そのため、哺乳類の進化に伴って突如現れた、進化的に新しい脳構造であると考えられてきた。 本研究では、哺乳類大脳新皮質の上層と下層に存在する神経細胞のサブタイプが、ニワトリの脳にも存在することを明らかにした。さらに、ニワトリ神経幹細胞の培養系を用いた研究により、これらの神経細胞サブタイプが、哺乳類型の発生プログラムにより産生されることを示した。すなわち、まず下層神経細胞、そして上層神経細胞が、時間差で生み出される。これらの結果は、大脳皮質の神経細胞サブタイプやこれを生み出す発生プログラムが、哺乳類と鳥類の共通祖先の段階、すなわち大脳新皮質「層構造」が誕生するより以前から、存在していたことを示唆する。さらに、カメの脳における層特異的遺伝子マーカーの発現を解析し、神経細胞増殖や分化の空間パターンを解析した。その結果、カメの脳は、基本的にはニワトリ脳と同じように、神経細胞サブタイプが空間的に制限されて生み出されることがわかった。カメの終脳はシンプルであり、羊膜類共通の祖先型ではないかと推測されている。したがって、以上の結果は、大脳新皮質「層構造」を生み出す機構の古い起源をさらに支持するものである。
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Research Products
(8 results)