2012 Fiscal Year Annual Research Report
ギボシムシゲノムに見出された昆虫性決定遺伝子の機能解析
Project/Area Number |
23657154
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 雅京 東京大学, 新領域創成科学研究科, 准教授 (30360572)
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Keywords | 性決定遺伝子 / 選択的スプライシング / ギボシムシ / ミジンコ / 性決定 |
Research Abstract |
Sktraの完全長cDNA含むプラスミドDNAを塩基配列解析に供試し、その全長構造を決定した。次にその塩基配列を基に複数のプライマーを設計し、Saccoglossus kowalevskiiの成体の精巣と卵巣由来のcDNAを用いたRT-PCR解析を行った。その結果、Sktraの発現パターンに雌雄差は見られないことが明らかとなった。但しSktraのmRNAの発現レベルをqRT-PCRにより定量した結果、精巣と卵巣の間で有意差が見られたことから、この遺伝子の発現量には雌雄差が見られる可能性が示唆された。次に、Sktraがショウジョウバエのdsxの雌型スプライシングを誘導出来ることを昆虫細胞を利用したin vitroアッセイ系にて評価したところ、Sktra2を共発現させた場合においてさえ雌型のスプライシングが起こらないことがわかった。昆虫に比較的近縁なミジンコから同定されたtraホモログであるDmagTraについても同様の解析を行ったが、やはり雌型dsxのスプライシングは見られなかった。以上の結果は、これらのtraホモログがショウジョウバエのtraとは異なる機能をもつことを示している。さらにこの点について詳細な解析を加えるため、GAL4-UAS発現システムによりSktraもしくはDmagTra cDNAを強制発現させることのできる遺伝子組換えショウジョウバエ系統を複数樹立した。マーカー遺伝子の発現による雌雄を判別でき、なおかつ前進でGAL4をドライブさせることが可能なBsY, Act-GAL4系統も合わせて樹立した。今後はこれら2つの系統を交配し、雄個体においてSktraもしくはDmagTra cDNAを強制発現させることにより、性転換を引き起こすことが出来るか否かを確認する予定である。
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Research Products
(2 results)