2012 Fiscal Year Annual Research Report
コドン頻度を応用した新規手法による非組換えワクチンウイルスの作出
Project/Area Number |
23657156
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
柿澤 茂行 独立行政法人産業技術総合研究所, 生物プロセス研究部門, 主任研究員 (10588669)
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Keywords | ウイルス / 植物 / コドン |
Research Abstract |
弱毒ウイルス(ワクチンウイルス)とは宿主内における病原性や増殖力の低いウイルスのことであり、多くの実用化例がある一方で、その復帰変異が大きな問題となっていた。近年提案されたコドン頻度を応用したワクチンウイルス作製手法は多くの利点を持つことから、有用な手法として期待されている。本研究は、遺伝子組換えを用いることなくワクチンウイルスを作出する手法を考案し、この手法を植物ウイルスに対して適用する系を確立することを目的とする。宿主としてはシロイヌナズナを用いる。まず、シロイヌナズナゲノムにおけるコドン頻度を調べ、レアコドンをリストアップした。加えて、シロイヌナズナ以外の植物種についても同様にコドン頻度を調べた。その結果、多くの植物ではコドン頻度が比較的似ており、レアコドンも似ていることがわかった。加えて、いくつかの植物ウイルスにおけるコドン頻度を調べたところ、宿主である植物ゲノムのコドン頻度とある程度の相関関係にあることがわかり、またレアコドンも同様であることが分かった。これは宿主内におけるウイルス遺伝子の効率的な転写翻訳を考えると、妥当な結果だと思われた。次に、レアコドンに対応するtRNA遺伝子を用いて植物を形質転換する系を検討した。遺伝子導入系やプロモーター系等を検討した結果、tRNA遺伝子の導入にはアグロバクテリウムを用いた通常の形質転換法を用いるのが最適であろうと考えられた。その後、tRNA遺伝子を形質転換し、この新たなワクチンウイルス作製手法の確立を試みた。
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