2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23657157
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
藤島 政博 山口大学, 理工学研究科, 教授 (40127783)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 感染防御 / ホロスポラ / ゾウリムシ / 大核 |
Research Abstract |
核内共生細菌ホロスポラオブツサの感染型をゾウリムシと混合すると、ホロスポラはゾウリムシの細胞口から食胞を経由して10分後には標的核の大核に侵入(感染)する。ホロスポラが感染したゾウリムシは、混合後6時間で、同種の感染型ホロスポラを食胞に取り込まなく変化するが、熱等で感染能を失活させた感染型や感染能がない増殖型ホロスポラ、エサの細菌は正常に食胞に取り込む。これらは、ゾウリムシが感染を経験して危険を学習・記憶し、有害な細菌からの感染防御機構を6時間以内に確立する能力を持っていることを示している。 ホロスポラオブツサと定常期のゾウリムシを一定密度で25度で15分混合し、洗浄後に、6時間チェースし、拒否反応を誘起させ、その後、ゾウリムシに各種試料を15分間混合して0.15%グルタルアルデヒドで固定し、平均食胞数/細胞/15分を調べた。感染能を持つ感染型ホロスポラオブツサは食胞に取り込まれないが、煮沸や凍結で感染能を失活させた感染型ホロスポラオブツサ、感染能を本来持たない増殖型ホロスポラオブツサ、宿主のエサの細菌、そして墨汁は正常に取り込まれた。さらに、まだ感染経験がない別種の小核特異的ホロスポラのホロスポラウンドゥラータには拒否反応を示さなかった。次に、前述の方法で拒否反応を誘起させ、2、4、6時間のチェースを行い、各チェース時間の後に感染型ホロスポラオブツサと15分混合して平均食胞形成数/細胞/15分を調べ、感染型ホロスポラオブツサの食胞取り込み拒否反応の記憶に要する時間を調べたところ、4時間であった。また、拒否反応を記憶させたゾウリムシを試験管(18 x180 mm)で継代培養し、定期的に感染型ホロスポラオブツサの平均食胞形成数/細胞/15分を調べて、記憶持続時間を調べたところ、少なくとも1年であることが明らかになった。 細胞表層タンパク質の変化はこの現象と無関係であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
転写と翻訳の阻害剤の影響については、次年度に実施する。
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Strategy for Future Research Activity |
255円が次年度使用となった。次年度は、阻害剤の影響と細胞咽頭で行われる摂食選択の現場のムービー撮影し、この現象の調節機構の糸口を探る。また、この現象の引き金が食胞形成かまたは標的核への感染かを明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
消耗品費、実験補助の謝金、英文論文の校正費に使用する。
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