2012 Fiscal Year Research-status Report
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23657157
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
藤島 政博 山口大学, 理工学研究科, 教授 (40127783)
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Keywords | 細胞内共生 / 一次共生 / ゾウリムシ / ホロスポラ / 食胞形成 / 食胞形成忌避反応 / 生体防御 |
Research Abstract |
(1)ゾウリムシの細胞表層タンパク質(GPI-anchored protein)は、環境ストレスの変化によって、発現するンパク質の種類が変化することが明らかにされている。細胞表層タンパク質に対するモノクローナル抗体を使用して、感染前と感染後6時間の生細胞の細胞表層タンパク質抗原の量的変化を、間接蛍光抗体法とイムノブロットで調べたが、変化はなかった。また、初期感染から4時間以上経過して食胞形成忌避反応を発現した細胞を細胞表層タンパク質抗体で処理してマスクし、忌避反応が解除されるかどうかを調べたが影響は認められず、食胞形成忌避反応の学習と表層タンパク質との相関は認められなかった。 (2)感染型H. obtusaを食胞に取り込まないように変化したP. caudatumの生細胞をムラサキイガイの分泌物由来の接着剤(セルタック)を用いて懽流培養用スライドガラスに接着させて、どのようにして食胞形成から排除されるかを微分干渉顕微鏡でムービーを撮り、感染の経験を持たないゾウリムシと比較したが、相違は確認できなかった。ゾウリムシの遊泳速度(7 m/h) で感染型H. obtusaを懽流させ、ゾウリムシの遊泳環境を再現する必要があると思われた。 (3)ゾウリムシの小核特異的H, undulataでも、H. obtusaで誘導される食胞形成忌避反応の学習が行われるかどうかを調べた。その結果、誘導されることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
食胞形成忌避反応の現場(細胞咽頭)をムービー撮影して、食胞に取り込むか排出するかの選択が行われる様子を録画することはできなかった。ゾウリムシが遊泳している状態を再現し、かつ、細胞に圧力をかけずに観察する条件下での観察が必要と思われた。顕微鏡下のスライドガラスとカバーガラスの間の液を遊泳速度で懽流する装置の作成が平成24年度中にはできなかった。 しかし、小核特異的H. undulataでも、大核特異的H. obtusaと同様の食胞形成忌避反応が誘導されたことから、この現象は普段遺伝子発現が盛んな大核内にホロスポラが感染することによって引き起こされる現象ではないことが明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
食胞形成忌避反応の現場(細胞咽頭)をムービー撮影して、食胞に取り込むか排出するかの選択が行われる様子を録画するために必要と考えられる装置(顕微鏡下のスライドガラスとカバーガラスの間の液を遊泳速度で懽流できる装置)を作成して観察する。 H. obtusaに対する被感染能を持つ他種ゾウリムシのP. multimicronucleatum, P. tetraureliaでもP. caudatumと同様に感染型H. obtusaの食胞内取り込みの拒否による感染防御機構が存在するかどうかを明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
一般試薬と懽流を可能にするスライドガラスとシリコンチューブ、国際会議での研究成果発表の旅費(第14回国際原生生物学会議、バンクーバー、2013年夏)、及び論文の英文校正等に使用する。定速の懽流に必要なペリスタリックポンプは既存のものを使用する。
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