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2011 Fiscal Year Research-status Report

単一汗腺可視化による汗腺の構造・機能の新たな評価方法

Research Project

Project/Area Number 23657171
Research InstitutionKobe University

Principal Investigator

近藤 徳彦  神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (70215458)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 近江 雅人  大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60273645)
前田 享史  北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90301407)
Project Period (FY) 2011-04-28 – 2013-03-31
Keywords生理人類
Research Abstract

指表皮での単一汗腺活動の可視化とその構造・機能解析を行った.1)安静時での基本的構造の検討.環境温20~28℃,相対湿度30~60%の環境下で約30分間安静後,安静時における指表皮(中指)の導管を光コヒーレンストモグラフィー(OCT)により可視化し,この情報を用いて表皮内の導管の長さ,太さおよび螺旋の数の計測を試みた.この方法は低コヒーレンス光干渉をベースとする断層イメージング技術であり,生体表皮下1~2mmの深さに渡って,断面における生体組織の微細構造をイメージングできる技術である.汗腺の構造を表皮導管の長さ,太さおよび螺旋の数を計測し,長さ・螺旋の数についてはある程度の評価が可能であったが,太さに関しては十分な値を得ることができなかった.また,指以外の部位の前腕と前額についても同様な評価を行ったが,いずれの部位も手掌とは表皮組織の構造が異なるため,今回の方法では導管構造は評価できなかった.2)表皮導管での汗分泌の動画化.1)と同じ状況で測定した安静時の表皮導管活動図を1秒間に60枚撮影し,それを連続的に繋ぎ合せることにより,汗分泌の動画を作成した.これによって,時系列の変化を評価できる可能性が出て来た.3)表皮導管の構造と機能との関係.環境温23℃‐26℃,相対湿度40%‐60%の環境下で約30分間安静後,最大随意筋力(最大握力)の20%,35%および50%の静的掌握運動をそれぞれ30秒間,約15分間の休息を挟み実施した.手掌・指発汗量と1)で計測した汗腺構造との間に明確な関係が得られなかった.しかし,傾向は認められ,方法や被験者の特性を検討することにより,構造と機能との関係がより明確になる可能性は残された.今回,手掌部以外の部位での発汗誘発としてイオントフォレーシスを用いたが,刺激部位の面積の大きさ等に課題が残された.海外研究者の助言も得ながら研究を進めた.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

平成23年度の研究では,手掌・指の表皮導管構造を明らかにし,それと発汗との関係を明らかにすることを主な目的とした.今回の結果から表皮内の導管の長さ,太さおよび螺旋の数を構造の基礎的要因としたが,太さに関しては測定が難しい状況であった.しかし,この構造の評価の可能性をさらに追求する必要がある.また,螺旋の数に関しても,もともとの螺旋数が2から3個程度であり,この数が機能とにどのように関わるのかを検討するのは難しいと思われた.このような観点から,当初計画していたような導管構造を概ね明らかにできたと考えられる.しかし,構造の評価と機能との関わりに関しては,各被験者の構造の値のばらつきが小さく,また,それ以上に機能に関わる発汗量は個人によって値が異なった.これらの結果から,表皮の導管構造と機能との関係を検討するには,今年度実施した方法では不十分である可能性がある.すなわち,導管構造が大きく異なる被験者からデータをとることで,両者の関係をさらに明らかにできることが考えられる.また,今回の研究では表皮導管の構造の一つとして螺旋数を検討したが,もともと,この螺旋状の構造が,汗を皮膚表面に出すために,どのような役割を果たしているのかを検討することも重要で,同じ水が螺旋状の筒と直道の筒ではどのように押し出されるのか等の基礎的な情報をもとに,導管構造と機能との関係をさらに検討する必要があると思われる.発汗誘発方法として用いたイオントフォレーシスで,誘発した面積等で課題が残され,その点では手掌以外の部位でもOCTのよる汗腺構造の評価の可能性が残された.

Strategy for Future Research Activity

平成23年度で検討した単一汗腺活動の新しい評価法が妥当であるかどうか,従来報告されている加齢に伴う汗腺活動の低下あるいは個人差や男性・女性の差との関係から検討することを目的とした.平成23年度で得られた結果から手掌皮膚表皮の導管構造の評価について,前述のように課題も明らかになった.1)手掌表皮の導管の螺旋構造の意義,2)導管の太さの評価,3)構造の特性と発汗機能との関連性.これらの解決には従来の分析と新しい解析方法を用いることとする.そこで,本年度はこの課題をさらに検討した上で,当初の予定であった汗腺機能が衰えていると考えられる中・高齢者の被験者を用いることで,単一汗腺活動の新しい評価法を検討する.高齢者の男女あるいは学生10名程度(平成23年度のデータを利用する)とする.実験条件は,平成23年度で行った評価方法を基礎とし,上述の課題を明らかにすることに得られる評価方法も利用することで,単一汗腺活動の新しい評価方法が妥当かどうか検討する.表皮導管の構造評価において,予測通りの評価が難しい場合には,平成23年度の確立した評価方法のみを用いる.また,対象の被験者は男女差も検討する予定であるが,表皮導管の構造と機能からの評価が不十分な場合には,より汗腺機能の差が大きい中高年と若年者を比較することで,今回実施しようとしている単一汗腺活動の新しい評価方法の妥当性を見てきたい.さらに,手掌以外の一般体表面の汗腺構造の評価が可能かどうか,発汗誘発方法であるイオントフォレーシスの方法の改善も検討に加え,その可能性を追求したい.

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

平成24年度の経費は,導管構造と機能解析にさらに必要な解析ソフトと分析カメラ,データ解析や実験補助,研究成果の発表と資料収集に主に配分している.また,実験遂行とデータの解析・分析として研究分担者に経費を分担している.

  • Research Products

    (4 results)

All 2012 2011

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (2 results)

  • [Journal Article] Dynamic analysis for mental sweating of a group of sweat glands on a human fingertip by optical coherence tomography2011

    • Author(s)
      Ohmi M, Tanigawa A, YamadaY, Ueda M, Haruna M
    • Journal Title

      Skin Research and Technology

      Volume: 17 Pages: 1-6

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] ヒトの発汗調節特性と部位差2011

    • Author(s)
      近藤徳彦,井上芳光,Havenith G, Machad-Moreira CA, Taylor NS.
    • Journal Title

      繊維機械学会誌

      Volume: 64 Pages: 25-31

  • [Presentation] ヒトの発汗調節特性と部位差2012

    • Author(s)
      近藤徳彦,井上芳光,George Havenith, Christiano A. Machado-Moreira, Nigel S. Taylor
    • Organizer
      日本繊維機械学会研究交流会(招待講演)
    • Place of Presentation
      大阪科学技術センタービル
    • Year and Date
      2012年2月24日
  • [Presentation] OCTを用いた外部刺激に対する精神性発汗の定量評価2012

    • Author(s)
      近江雅人,和田裕喜,松田絵美
    • Organizer
      レーザー学会学術講演会第32回年次大会
    • Place of Presentation
      TKP仙台カンファレンスセンター
    • Year and Date
      2012-01-30

URL: 

Published: 2013-07-10  

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