2011 Fiscal Year Research-status Report
ミトコンドリア宅配型アグロバクテリウムの開発とミトコンドリア形質転換系の確立
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23658002
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鳥山 欽哉 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (20183882)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 育種学 / 遺伝学 / 遺伝子 / 植物 / バイオテクノロジー |
Research Abstract |
タバコなどの植物では、葉緑体の形質転換が可能であり、緑葉細胞にパーティクルガンを用いて外来遺伝子を導入する系が確立されている。一方、ミトコンドリアの形質転換系は報告されていない。他方、アグロバクテリウムのT-DNAが植物細胞の核に輸送されるときは、T-DNAにVirD2とVirE2が結合してT-complexを形成する。本研究では、このVirD2とVirE2にミトコンドリア移行シグナル配列を付加した改変アグロバクテリウムを作成し、T-DNAをミトコンドリアに輸送(宅配)させることを目指している。(1)ミトコンドリア移行シグナル(シロイヌナズナ gamma subunit of mitochondrial F1-ATPase) + 核移行シグナルを除去したVirD2 + RFPを連結した合成DNAを作成し、Agrobacterium tumefaciens EHA101に、相同組換えを利用して導入した。PCR解析により、目的の組換えアグロバクテリウムを選抜した。(2) ミトコンドリア発現用ベクターの構築:ミトコンドリア26S ribosomal RNA遺伝子(rrn26)のプロモーター(400bp) + SD配列を付加したGFP + nad6 3’(200bp)を連結した合成DNAを作成した。(3) 本研究(1)で作成した改変アグロバクテリウムを用い、本研究(2)で作成したミトコンドリア発現用ベクターを植物に遺伝子導入して一過的なGFPの発現を観察し、ミトコンドリアでGFPが観察されれば、ミトコンドリア宅配型アグロバクテリウムが開発できたことになる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
改変アグロバクテリウムを作成し、実験を遂行するための第1ステップをクリアーした。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で作成した改変アグロバクテリウムを用い、本研究(2)で作成したミトコンドリア発現用ベクターをタバコの葉やイネのカルスに遺伝子導入して一過的なRFPとGFPの発現を観察する。GFPがミトコンドリアに観察されれば開発成功となる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
導入用ベクターを構築する際、長鎖DNAの外部委託合成を行ったが、当初予定より時間がかかり、申請者の研究室において物品費を多く必要とする実験が次年度となったため、次年度に使用する研究費を繰り越した。次年度はミトコンドリア発現用ベクターをバイナリーに組み込むための分子生物学用のキットと試薬、および、ミトコンドリア発現用ベクターをタバコの葉やイネのカルスに遺伝子導入して一過的なRFPとGFPの発現を観察するための分子生物学用キットと試薬、およびプラスティック製品を購入する。遺伝子組換えに関わる情報収集旅費、および、成果報告旅費を計上する。
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