2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23658005
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長戸 康郎 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (10143413)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桧原 健一郎 東京大学, 農学生命科学研究科, 助教 (10595713)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | イネ / PPS遺伝子 / juvenile-adult相転換 / PRECOCIOUS遺伝子 / COP1遺伝子 |
Research Abstract |
1. 変異体を用いたjuvenile-adult相転換の解析ポジショナルクローニング法によりjuvenile phaseが長くなるpps変異体の原因遺伝子を同定した結果、シロイヌナズナの光形態形成に関与するCOP1のオーソログであった。ppsも暗所で光形態形成を行うが、COP1遺伝子はjuvenile-adult相転換には関わらないので、イネが進化する過程で、PPSは新規の機能を獲得したと考えられる。この成果は既にPLANT CELL誌に公表した。precocious (pre)変異体は、葉の中肋の有無などの解析から、juvenile phaseが短くなっていると思われる.出穂期は野生型より5日程度早くなっており、adult phaseの期間は変わらない. KasalathとのF2集団を用いたポジショナルクローニング解析により、原因遺伝子がほぼ特定された。今後、相補性試験、発現解析を進める。mori変異体はjuvenile phaseが永続するという興味深い表現型を示す。予定していなかったが、MORIがmicroRNAやジベレリン関連遺伝子の上流に位置することを明らかにした。ポジショナルクローニング解析により原因遺伝子をほぼ特定し、機能解析を進めている。2.品種群分化におけるヘテロクロニー形態的、生理的マーカーを用いて、japonica, indica品種群におけるjuvenile-adult相転換時期を調査した結果、indica品種では相転換が早まっていることが明らかになった。コシヒカリx Kasalathの染色体断片置換系統を用いたQTL解析により、相転換時期は主に2遺伝子座により支配されていることを明らかにした。また、野生イネもjaponica品種に比べて相転換が早まっており、その転換時期も上記の2遺伝子座が関わっていることが予想された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
PPSについては、計画通り表現型解析と機能解析をほぼ終了しただけでなく、ジベレリンとの関係を明確にすることができた。PPSのシロイヌナズナのオーソログであるCOP1がjuvenile-adult相転換には関わらないことを明らかにし、イネ(単子葉植物?)の進化の過程でPPSが新しい機能を獲得したことを示した。このことはイネの進化を考える上で重要であろう。PRE, MORIの両遺伝子を予想以上に早くほぼ特定することができた。特にMORIはjuvenile-adult相転換のマスタースイッチと考えられ、今後の研究は初期生育の理解に大きなインパクトを与えると期待している。 品種群分化におけるヘテロクロニーについても、2遺伝子座がindica-japonicaの分化に普遍的に関与していることを示した。計画にはなかった野生イネにまで範囲を広げ、興味深い成果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
PRE, MORIの両遺伝子については、相補性検定により原因遺伝子を証明するとともに、発現解析、機能解析を進める。さらに、PPS, MORI, PRE3者間の関係を調べ、juvenile-adult相転換を巡る遺伝子ネットワークを明らかにする。 品種群分化におけるヘテロクロニーについては、2つのQTLの遺伝子を特定する。また、何故japonica品種ではjuvenile期が長くなっているかを明らかにするため、相転換の適応的な意義を明らかにできるような研究を展開する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究の遂行に必要な設備は揃っているので、研究費はMORi, PRE遺伝子の機能解析などのための分子生物学、生化学的解析用の消耗品費が主なものである。また、研究成果発表、情報収集のための旅費を必要とする。
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[Journal Article] The COP1 ortholog PPS regulates the juvenile-adult and vegetative-reproductive phase changes in rice2011
Author(s)
Tanaka, N., Ito, H., Sentoku, N., Kojima, M., Sakakibara, H., Izawa, Itoh, J.-I., Nagato, Y.
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Journal Title
The Plant Cell
Volume: 23
Pages: 2143-2154
DOI
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[Presentation] The analysis of juvenile-adult phas
Author(s)
Tanaka, N., Ito, H., Sentoku, N., Kojima, M., Sakakibara, H., Izawa, T., Itoh, J-I. and Nagato, Y.
Organizer
日本植物生理学会
Place of Presentation
京都産業大学
Year and Date
2012年3月16日
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