2011 Fiscal Year Research-status Report
飼料・バイオ燃料兼用イネ品種開発のための強稈性と消化性・糖化性関連形質の解明
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23658013
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
大川 泰一郎 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (80213643)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 飼料イネ / 強稈性 / 消化性 / リグニン / NIL / バイオ燃料 / 糖化性 / バイオマス |
Research Abstract |
イネの強稈性と消化性・糖化性をともに高める稈の構造的形質、バイオマスの構成成分などの生理生化学的性質を解明するため、リグニン合成酵素を欠損したゴールドハル形質の品種および突然変異体、強稈質・太稈品種・系統などの遺伝資源を用いて、(1)強稈性と消化性・糖化性をともに高める稈の構造的性質、(2)強稈性と消化性・糖化性をともに高める稈のバイオマス構成成分の生理生化学的性質を比較検討し、飼料・バイオ燃料兼用の新しいタイプのイネ品種に不可欠な強稈性と消化性・糖化性を併せ持つ上で重要な性質を解明することを目的として研究を行った。本年度は、これまで育成したリーフスターを含む品種、収集してきたリグニン合成酵素欠損突然変異体、太稈準同質遺伝子系統NILなどを含む遺伝資源を用いて、強稈性と消化性・糖化性を高める稈の構造的性質を解析した。その結果、ゴールドハル形質をもつリーフスターとその交雑後代系統のTULT-gh-5-5、西海飼286号の稈の挫折強度はいずれもコシヒカリの2倍以上と高く強稈で、とくにTULT-gh-5-5は断面係数が著しく大きく、稈の挫折強度が最も大きかった。 リーフスターとTULT-gh-5-5は曲げ応力が大きく、少ないリグニン密度でも曲げ応力が大きい特徴があった。また,皮層繊維組織の厚さおよび稈壁に占める皮層繊維組織の割合が高い品種・系統は曲げ応力が大きかった。これらのことから、TULT-gh-5-5は稈外径、稈壁が厚く断面係数が大きいことによって稈の挫折強度が高くなること、リーフスターは少ないリグニン密度でも曲げ応力が効率的に大きくなり、皮層繊維組織が厚く稈壁に占める割合が高い性質をもつことが明らかになった。この性質は、リグニンによる曲げ応力の増加とともに効率的に強稈質とし、強稈性と消化性・糖化性をともに高めるために重要であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
水稲の強稈性と消化性・糖化性を併せ持つ性質を明らかにすることを目的に検討を行い、当初の予定通り、稈のリグニン合成酵素の欠損突然変異によってリグニン含有率が低下しても、稈質が弱くならず、稈の機械組織である皮層繊維組織が厚く、この組織にセルロースおよびヘミセルロースが蓄積することによって補強されることによって、強稈性と消化性・糖化性がともに高められることを明らかにすることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
飼料用・バイオ燃料兼用品種育成のため、強稈性および消化性・糖化性の両方をともに高める性質である皮層繊維組織の構造的特性の解析、低リグニンでも強稈性を維持する細胞壁構成成分の解析を行い、飼料用・バイオ燃料用水稲品種の強稈性と消化性・糖化性を高めるために備えるべき性質を解明する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度は購入した物品の顕微鏡デジタルカメラが当初の予定より安く納入できたため、平成24年度に繰り越し、イネの強稈性に関わる稈の構造的特性の解析、細胞壁構成成分の分析のための物品購入、試薬等の消耗品の購入に支出する。
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Research Products
(2 results)