2012 Fiscal Year Annual Research Report
飼料・バイオ燃料兼用イネ品種開発のための強稈性と消化性・糖化性関連形質の解明
Project/Area Number |
23658013
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
大川 泰一郎 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (80213643)
|
Keywords | 飼料イネ / 強稈性 / 消化性 / 糖化性 / リグニン / NIL / バイオ燃料 / バイオマス |
Research Abstract |
ホールクロップを利用する飼料およびバイオ燃料兼用のイネ品種の開発において、地上部全体のバイオマスを支える強稈性と、消化性および糖化性の改良が重要な研究課題となる。イネの強稈性と消化性・糖化性をともに高める稈の構造的形質、バイオマスの構成成分などの生理生化学的性質を解明するため、(1)強稈性と消化性・糖化性をともに高める稈の構造的性質、(2)強稈性と消化性・糖化性をともに高める稈のバイオマス構成成分の生理生化学的性質を比較検討し、飼料・バイオ燃料兼用の新しいタイプのイネ品種に不可欠な強稈性と消化性・糖化性を併せ持つ上で重要な性質を解明することを目的として研究を行った。強稈性と消化性・糖化性を高める稈の構造的性質を解析した結果、ゴールドハル形質をもつリーフスターとその交雑後代系統のTULT-gh-5-5の稈の挫折強度はコシヒカリの2倍以上と高く強稈で、とくにTULT-gh-5-5は稈外径および稈壁が厚いことによって断面係数が著しく大きく、稈の挫折強度が最も大きかった。 リーフスターは親の中国117号、タカナリに比べて曲げ応力が大きく、とくにリーフスターはリグニン密度当り曲げ応力が最も大きく、少ないリグニン密度でも曲げ応力が大きい特徴があった。また,皮層繊維組織の厚さおよび稈壁に占める皮層繊維組織の割合が高い品種・系統は曲げ応力が大きかった。これらのことから、TULT-gh-5-5は稈外径、稈壁が厚く断面係数が大きいことによって稈の挫折強度が高くなること、リーフスターは少ないリグニン密度でも曲げ応力が効率的に大きくなり、皮層繊維組織の細胞数が多いため層が厚くなり、稈壁に占める割合が高い性質をもつことが明らかになった。皮層繊維組織の割合が高い性質は、リグニンによる曲げ応力の増加とともに効率的に強稈質とし、強稈性と消化性・糖化性をともに高めるために重要であることが明らかとなった。
|
Research Products
(1 results)