2012 Fiscal Year Annual Research Report
受粉と収量から見た温暖化条件において最適なイネの穂の位置
Project/Area Number |
23658015
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
松井 勤 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (70238939)
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Keywords | 高温不稔 / イネ / 受粉 / 群落 / 温暖化 |
Research Abstract |
高温による不稔が頻発する長江大学の実験圃場において,実験を行った.2011年度は,イネ群落中にポット栽培したイネ品種タカナリを,種々に高さを違えて配置し開花させ,群落内の穂の高さと受粉・受精との関係を検討した.表層より40cmの位置で開花したと考えられる穂の受精率は,表層から20cmまでの高さで開花したと考えられる花の受精率よりも有意に低かった.不稔の発生率と柱頭上で発芽した花粉の数が10粒未満であった花の割合との間には有意な相関関係が認められ,柱頭上での花粉の発芽数の減少が不稔の発生に強く関わっていると考えられた.さらに,発芽花粉数と柱頭に付着する花粉数との間には強い相関関係が認められ.不安定な受粉が群落の深さ40cmにおける不稔の増加に関わっていると考えられた.不稔の増加,不安定な受粉は,開花時に花に振動を与えることで回復した.これらの結果から,群落の深い位置における受粉・稔実の不良は,風による穂の振動が少ないことによると考えられた. 2012年度には,中国のイネコアコレクションより,草型が大きく異なる品種を含む中国のイネ12品種を群落条件で栽培し,穂の周辺の群落構造,穂の位置と受粉の安定性,稔実との関係を検討した.受粉不良時の受粉不良花の割合の品種間差異は,群落における葉群の傾斜角度と開花時に葯の基部と頂部に生じた裂開の長さの和との重回帰によりよく説明され(R2=0.7244),葉が水平に近いほど,また,葯の裂開が小さいほど受粉不良の花が多くなると考えられた. 以上の結果から,高温条件下での受精・受粉の安定性には群落の構造と穂の位置が密接にかかわっていると考えられた.
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Research Products
(2 results)