2011 Fiscal Year Research-status Report
リンゴ酸バルブ増強による作物の窒素同化能および環境ストレス耐性能向上の試み
Project/Area Number |
23658016
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
谷口 光隆 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (40231419)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 植物 / 葉緑体 / 窒素同化 / 環境ストレス / 遺伝子組換え / 輸送体 / 還元力 / リンゴ酸バルブ |
Research Abstract |
葉緑体からの還元力排出は,光阻害に対する防御および硝酸還元酵素への還元力供給に必須であり,2-オキソグルタル酸/リンゴ酸輸送体(OMT)とリンゴ酸脱水素酵素(MDH)アイソザイムから構成されるリンゴ酸バルブがその役割を担っている。本研究では,このリンゴ酸バルブ能を増強させた遺伝子組換え作物を作製し,光阻害を回避することによる環境ストレス耐性能の向上,および還元力供給増強による窒素利用効率の向上が見られるかどうかを明らかにすることを目的としている。 平成23年度は,遺伝子導入の対象となるOMTおよびNADP-MDHのcDNAを単離し,遺伝子導入用ベクターへの組み込みを行った。OMTおよびMDHを過剰発現させるために,カリフラワーモザイクウイルス35Sプロモーターの下流に目的cDNAを組み込んだ。また,イネの硝酸同化に対するOMTの役割,C4光合成へのOMTの関与について未だ不明の点が多いため,各植物においてOMT遺伝子の発現を抑制させる形質転換コンストラクト(RNAiまたはアンチセンスコンストラクト)も作製している。これらのコンストラクトDNAをイネおよびシコクビエへ導入し,目的とする形質転換体の作出を試みている。シコクビエにおいては,パーティクルガンを用いたカルスへの遺伝子導入を行っているが,形質転換効率が低いので,用いるベクター,選抜薬剤,導入条件,カルス培養条件などの見直しを行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
シコクビエの形質転換効率が悪いため,形質転換体が得られていない。イネ科植物への形質転換を行っている研究者に意見を伺いながら導入条件の見直しを行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
導入したOMTやMDHが過剰発現している形質転換系統が得られ次第,(1)単離葉緑体におけるリンゴ酸バルブ活性の比較,(2)葉の硝酸同化活性の測定,(3)環境ストレス耐性能の評価,(4)高CO2濃度条件下での炭素同化と硝酸同化の比較,(5)成長量および収量の比較,を行う予定である。シコクビエやコムギで期待される形質転換系統が得られない場合は,イネの組換え体に集中して解析を行うことも考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
得られた遺伝子組換え体を解析するための遺伝子発現解析用試薬,CE/MS分析用消耗品,安定同位体,電子顕微鏡関連試薬,および一般試薬を購入する。 得られる成果は,日本作物学会あるいは日本植物生理学会年会において発表する予定なので,その旅費を当研究費より賄う。 植物育成,形質転換体選抜,および実験解析のため,実験補助者2名を雇用する。
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Research Products
(2 results)