2012 Fiscal Year Annual Research Report
イネにおける生物的窒素固定の評価とその利用に関する研究
Project/Area Number |
23658017
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
井上 博茂 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 講師 (40260616)
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Keywords | 栽培体系 / 生物的窒素固定 / アセチレン還元活性 / 重窒素追跡 |
Research Abstract |
イネ品種カサラス、日本晴、台中65号、C5444およびアキヒカリを供試して、ポット栽培ならびに圃場栽培を行い、生物的窒素固定(以下BNF)に関する量的評価を試みた。圃場で栽培されイネを対象とし、アセチレン還元活性(以下ARA)を指標としてBNFの評価を試みたところ、サンプリングされたイネについてARAを測定することでBNFを評価することは困難であることが分かった。真砂土を用いたイネのポット栽培において、15Nで標識された硫安を施肥窒素に用い、イネ生育期間を通してイオン交換水を用いて湛水処理栽培を行うことで、台中65号、C5444および台中65号×C5444の交雑F2集団についてBNFを量的に評価したところ、F2集団の中には、C5444を超越するBNFを示した個体が多く含まれていたことが明らかになり、BNFを遺伝的に改良することができると考えられた。一方、赤色土壌を用いたイネのポット栽培では、in situ条件下でARAを測定することにより、BNFを検出することができたものの、土壌の培養実験の結果から、無機態窒素が土壌に吸着されることが明らかになり、BNFの寄与については評価できなかった。 イネ品種台中65号よびC5444を、真砂土を用いてポット栽培した後の土壌よりDNAを抽出した。16SリボゾームRNA領域において土壌微生物AzospirillumおよびHerbaspirillum由来のDNA領域を特異的に増幅するプライマーをそれぞれ設計して、得られたDNAを鋳型としてPCRを行ったところ、いずれのプライマー組についても増幅バンドが得られた。一方、植物由来のDNAを特異的に増幅するプライマーを用いて同様にPCRを行ったところ、増幅断片は得られなかった。水田土壌を用いてポット栽培した後の土壌よりDNAを抽出し、同様のPCRを行った実験では、真砂土の場合と同様の結果が得られた。
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