2013 Fiscal Year Annual Research Report
銀ナノ微粒子を利用した切り花・花木の新たなポストハーベスト技術の確立
Project/Area Number |
23658022
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
村山 秀樹 山形大学, 農学部, 教授 (40230015)
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Keywords | 銀ナノ微粒子 / 抗菌性 / 切り花 / 鮮度保持 |
Research Abstract |
これまでのオーニソガラムやケイオウザクラを用いた研究において,銀ナノ微粒子をコーティングした容器を用いると,生け水中に生菌が検出されず,銀ナノ微粒子が高い抗菌性を示すことを明らかにした。本研究では,デルフィニウムを供試して,銀ナノ微粒子がエチレンに対する感受性の高い切り花の品質におよぼす影響を調査した。 その結果,チオ硫酸銀(STS)を処理していない対照区と銀ナノ微粒子区では,銀ナノ微粒子区で花持ち日数の延長はみられたものの,その他の品質に大きな差は認められなかった。生菌数測定の結果は,ユリ,トルコギキョウ,オーニソガラムと同様に,細菌の増殖がまったくみられず,高い抗菌性を示した。しかし,STS処理は対照区と比較して,切り花の花持ちを向上させ,デルフィニウムに特有な現象である,がく片の離脱を抑制したが,切り花の品質に対しては銀ナノ微粒子のポジティブな効果は得られなかった。これは,デルフィニウムにおいては,抗菌剤よりも抗エチレン剤であるSTSの方が効果が高いということを示唆している。 次に,銀ナノ微粒子をコーティングしたポリ容器中の銀濃度を経時的に測定した。その結果,1日目から14日目にかけて時間の経過とともに銀濃度が上昇することが判明した。測定された銀濃度は66~5.94mg・L⁻¹の範囲であり,これは,切り花を用いたこれまでの研究で処理されている銀ナノ微粒子の量と比較すると,かなり低い濃度であった。 以上の結果から,デルフィニウムを用いた研究においても,銀ナノ微粒子は,高い抗菌性を示すことを確認することができた。しかしながら,銀ナノ微粒子には,チオ硫酸銀のような抗エチレン性は認められなかった。
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