2012 Fiscal Year Research-status Report
バラ棘形成に関わる遺伝子群の構造・機能解析と新奇バラ創製
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23658026
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松本 省吾 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (90241489)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹本 大吾 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (30456587)
河村 耕史 大阪工業大学, 工学部, 准教授 (00595613)
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Keywords | バラ / 棘 / AS1 / class1 KNOX |
Research Abstract |
ノイバラより単離したRKN遺伝子(Class1 Knotted-like homeoboxホモログ)の花序における発現解析を行ない、棘の発生しない花序第3節では、野生株、棘無し変異株A, Bともに高い発現レベルにあることを確認した。これに対し、花序第1節では、棘無し変異株Aは、花序第3節の野生株、棘無し変異株A, Bと同等の高い発現レベルを示したが、棘の発生する野生株では発現レベルが1/10程度にまで抑えられていた。棘無し変異株Bの花序第1節における発現解析を含め、より多くの系統での発現解析が必要ではあるが、RKN1が棘形成に抑制的に働いている可能性が考えられた。前年度にバラ品種’The Fairy’より2種類のRKN(RKN1-1, RKN1-3)、テリハノイバラより2種類のRKN(RKN1-1, RKN1-2)、合計3種類の対立遺伝子を単離し、塩基置換を含んだ配列情報を基にdCAPSマーカーを開発して、’The Fairy’とテリハノイバラ交雑集団のRKN遺伝子型を予備的に決定した。本年度は、さらに多くの交雑集団個体を用いた連鎖解析からRKN遺伝子がバラ第3連鎖群の棘密度を司るQTLに座乗していることを確認した。 前年度までにリンゴ小球型潜在ウイルス(ALSV)がバラに感染すること、病徴を示さないこと、成長に影響を与えないことを明らかにした。本年度は、ノイバラから単離したカロテノイド生合成系に関わるPDS遺伝子をALSVベクターに導入して組換えウイルスPDS-ALSVを作製し、ハマナスおよびノイバラに接種して白化個体の作出に成功した。さらに効率的なバラにおけるALSV誘導ジーンサイレンシング系の確立に向けて研究を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに、葉原基形成に関わるROPHAN遺伝子(AS1ホモログ)をノイバラから単離することに成功し、遺伝子発現解析から、棘形質との関連を示唆するデータを得るとともに。連鎖解析から本遺伝子がバラ第3連鎖群の比較的弱い棘密度QTL近傍に座乗していることを明らかにしている。本年度は、ノイバラより単離したRKN遺伝子(Class 1 KNOXホモログ)の発現解析を行ない、棘形質との関連を示唆するデータを新たに得た。特に、リンゴ小球型潜在ウイルス(ALSV)誘導ジーンサイレンシングの系を用いてのこれら遺伝子の機能解析ならびに新奇バラ創製に向けての具体的道筋が立てられたことから、研究計画はおおむね順調に伸展している。
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Strategy for Future Research Activity |
ノイバラより単離したAS1ホモログROPHAN遺伝子とClass 1 KNOXホモログRKN遺伝子の機能解析を進める。特にRKN遺伝子は、バラ第3連鎖群の強い棘密度QTL内に座乗しており、棘形成に関与するデータも得られつつあることから、本遺伝子を中心に、バラでの遺伝子発現解析を繰り返すことにより、棘形成との関連の詳細を明らかにする。最終的には、新遺伝子機能解析系であるリンゴ小球型潜在ウイルス(ALSV)誘導ジーンサイレンシング系を確立して、新奇棘無しバラ創製を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
以下の実験を進めるために、各種遺伝子解析用試薬を購入して使用する。①RKN遺伝子のゲノム解析、②棘有ノイバラの棘発生部位と変異体である棘無ノイバラの相同部位について経時的なリアルタイムPCR法によるRKN遺伝子発現解析、③RKN遺伝子サイレンシング用ベクターの構築とキノアへの感染による組換えALSVの作製、④ALSV誘導ジーンサイレンシングによる新奇棘無バラ創製。また、これ以外に、適宜、圃場バラの育成管理、植物園等でのバラ材料サンプリングや海外を含む国際、国内学会での研究成果発表にも使用を予定している。
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Research Products
(16 results)