2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23658029
|
Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
平塚 伸 三重大学, 生物資源学研究科, 教授 (10143265)
|
Keywords | 果実 / CO2固定 / 糖濃度 / 光合成 / PEPC |
Research Abstract |
ウンシュウミカン果皮の真の光合成速度は、光強度の上昇に伴って高まったが、強光下(20klx)では葉の60%程度であった。しかし、弱光下(5klx >)では葉の光合成速度を上回ったことより、果皮は陰葉的な光合成特性をもつことが明らかとなった。一方、果皮の真の光合成速度は500ppmCO2まで徐々に上昇したが、それ以上の濃度では抑制傾向を示した。葉ではCO2濃度の上昇に伴って直線的に光合成速度が高まったことより、果皮はC4植物的光合成特性をもつと考えられた。 果皮は最大時(満開後63日)にカボチャの葉と同程度の気孔密度をもち、十分な気孔コンダクタンスを有することから、CO2固定は果皮の気孔を介して行われていると結論された。なお、成熟果も最大時の1/3程度の気孔コンダクタンスを示すことから、成熟果でも気孔を介したCO2固定が可能と考えられた。 果皮による14CO2固定産物は、どの発育ステージの果実でも果汁へ分配されたことより、クロロフィルのない成熟果では果皮のPEPCがCO2固定に関与していると考えられた。 14Cが取り込まれた果汁をHPLC分析すると、14Cは糖と有機酸分画に検出されたことから、緑色果実では光合成とPEPCの固定したCO2が果汁に蓄積され、成熟果ではPEPCの固定したCO2が蓄積すると考えられる。なお、成熟果が固定した14Cも糖分画に検出されたことより、ウンシュウミカン果肉では有機酸から糖を合成する「糖新生」が起きていると推察された。
|