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2011 Fiscal Year Research-status Report

フロリゲン直接注入法を活用したカンキツの幼若期短縮方法の開発

Research Project

Project/Area Number 23658031
Research InstitutionSaga University

Principal Investigator

永野 幸生  佐賀大学, 総合分析実験センター, 准教授 (00263038)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 松本 亮司  佐賀大学, 農学部, 教授 (40355409)
Project Period (FY) 2011-04-28 – 2014-03-31
Keywords園芸学 / バイオテクノロジー / 発生・分化 / 蛋白質 / 植物
Research Abstract

フロリゲンであるFTタンパク質は花芽形成を誘導する物質である。最近、カラタチを台木として成熟相のウンシュウミカンを穂木として接いだものにFTタンパク質を直接注入して、花芽形成を誘導できることを見いだした。すなわち、着花しないけれども成熟相にある「栄養的成熟相」の短縮に成功した。しかし、実生樹の開花までの期間の短縮、すなわち、幼若期の短縮には成功していない。そこで、本研究では、ウンシュウミカンに代表されるカンキツを研究材料に、フロリゲン直接注入法の更なる改善を試み、更にフロリゲン直接注入法と他の手法を組み合わせることで、幼若期短縮方法を開発することを目指した。 まず、フロリゲン直接注入法の更なる改善のために、品種間差異の検討を行った。栄養的成熟相の長さには品種間差異が見られる。まず、栄養的成熟相が長い「せとか」、「佐世保温州」、中位の「紀州ミカン」、きわめて短い「麗紅」の4品種を供試し、FTタンパク質を導入して、着花数を調査した。栄養的成熟相の短い「麗紅」では、無処理対照樹ではすでに過剰な着花があり、FTタンパク質導入の効果は認められなかった。また栄養的成熟相の長い「せとか」、「佐世保温州」でも、FTタンパク質導入による着花の増加は認められなかった。一方、中位の「紀州ミカン」では、着花が増加した。この結果から、フロリゲン直接注入法には、品種間差異があることが判明した。 次に、フロリゲン直接注入法と他の手法を組み合わせについて検討を行った。そこで、開花阻害タンパク質であるTFL1の低分子阻害剤の探索を行った。コンピュータによるシミュレーションにより、TFL1の機能的に重要なポケットに結合する低分子化合物候補7種類を見いだした。また、この候補物質のうち2種類が実際にTFL1と結合している可能性を生化学的に明らかにした。今後、この物質の開花への効果を調べることが重要である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

まず、フロリゲン直接注入法の更なる改善を行った。 FTタンパク質の投与量が十分でなかったため、実生樹の開花誘導に至らなかった可能性がある。また、FTタンパク質が不安定であったため生体内で十分な量が存在せず、実生樹の開花誘導に至らなかった可能性がある。そこで、まず、この可能性について検討した。現在、FTタンパク質は大腸菌を用いて生産している。しかし、大腸菌による生産法、十分な量が得られない(1リットルの培養液あたり10 mg程度)、得られたタンパク質が不安定である(間違った構造をとりやすい、など)という欠点がある。そこで、大量生産に最適で、また、得られるタンパク質が安定であると言われているブレビバチルスBrevibacillus choshinensisの発現系を検討し、大量生産を試みた。しかし、大腸菌の場合に比べて、発現量は少なかった。一方で、フロリゲン直接注入法の更なる改善のために、FT直接注入実験を様々な品種で行い、品種間差異を見いだしたことは有意義な成果であった。 次に、フロリゲン直接注入法と他の手法を組み合わせについて検討を行った。植物がFTタンパク質の活性を阻害する物質を分泌しているため、開花誘導の効率が悪い可能性がある。TFL1(Terminal Flower 1)というタンパク質がFTタンパク質と拮抗する作用をもつことが知られているが、これがこの阻害物質の最有力候補である。当初は、TFL1タンパク質に対する抗体を植物体に注入して、TFL1タンパク質の活性を抑える実験を計画し。しかし、TFL1の低分子阻害剤の方が植物体への注入は容易であると考えて、実験計画を変更した。その結果、実際にTFL1の機能的に重要なポケットと結合している可能性がある低分子化合物を2種類見いだした。この成果は、フロリゲン直接注入法と他の手法を組み合わせることに関して、大きな前進である。

Strategy for Future Research Activity

フロリゲン直接注入法の更なる改善を引き続き検討する。どの時期(どの月が良いか、回数など)、どの濃度、および、どの生育段階に注入するのがよいかなどを引き続き検討する。 前年度に、大きな進展があった「フロリゲン直接注入法と他の手法を組み合わせ」について研究を更に前進させる。(1) H23年度に見いだした、TFL1の機能的に重要なポケットと結合している可能性がある低分子化合物2種類について、植物体に対する効果を調査する。(2) H23年度は、低分子化合物のタンパク質への結合をコンピュータによりシミュレーションすることにより、TFL1の機能的に重要なポケットに結合する低分子化合物候補を見いだした。しかし、計算の規模は小さいものであった。今後は、計算をより大規模にする。具体的には、これまでより多くの低分子化合物について、TFL1の全てのポケットに関して計算をし、より多くの候補物質を明らかにする。(3)合わせて、コンピュータによるシミュレーションではない化学的な方法でも、TFL1の活性阻害物質候補の探索を行う。具体的には、化合物アレイスクリーニングを外部委託して、TFL1の活性阻害物質候補の探索を行う。 また、フロリゲン直接注入法と他の手法を組み合わせについて別のアプローチで更に検討を行う。植物体外から、標的遺伝子に対する二本鎖RNAあるいはsiRNAを外部から遺伝子銃で注入して、標的遺伝子の遺伝子発現を抑えると研究がいくつか報告されている。また、注入したsiRNA(二本鎖RNAはsiRNAになる)が植物体内で移動することも知られている。そこで、TFL1遺伝子を標的とする二本鎖RNAを試験管内で合成して、植物体に注入する。注入方法は、私たちが開発した植物体へのタンパク質注入法を用いる。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

前年度に、大きな進展があった「フロリゲン直接注入法と他の手法を組み合わせ」について研究に研究費の多くを使用する。具体的には、コンピュータによりシミュレーションで見つかった低分子化合物の購入、化合物アレイスクリーニングの外部委託、化合物アレイスクリーニングで見つかった低分子化合物の購入に研究費の多くを投入したい。

  • Research Products

    (3 results)

All 2011

All Presentation (3 results)

  • [Presentation] Comparison of the model of flowering regulation systems between Citrus and Arabidopsis2011

    • Author(s)
      Takashi Mimura, Hiroaki Suzuki, Ryoji Matsumoto, Yukio Nagano
    • Organizer
      The 6th Daegu University-Saga University Joint Symposium
    • Place of Presentation
      大韓民国・大邱大学校
    • Year and Date
      2011-11-01
  • [Presentation] カンキツとシロイヌナズナの開花制御モデルの比較2011

    • Author(s)
      三村高史, 鈴木裕明, 松本亮司, 永野幸生
    • Organizer
      平成23年度日本農芸化学会西日本支部・中四国支部合同大会
    • Place of Presentation
      宮崎大学
    • Year and Date
      2011-09-17
  • [Presentation] カンキツにおける開花制御モデルの検討2011

    • Author(s)
      三村高史, 鈴木裕明, 松本亮司, 永野幸生
    • Organizer
      平成23年度日本生化学会九州支部例会
    • Place of Presentation
      久留米大学
    • Year and Date
      2011-05-22

URL: 

Published: 2013-07-10  

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