2011 Fiscal Year Research-status Report
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23658032
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
國武 久登 宮崎大学, 農学部, 教授 (80289628)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 果樹 |
Research Abstract |
光照射時の温度や照射する光の質がブルーベリー培養苗葉のアントシアニン(AC)含量に与える影響について調査した。総AC含量は、青色光および赤色光のどちらでも10℃区で最も多くなり、温度が高くなるにつれて徐々に減少し、30℃区で最も少なくなった。特に10℃区で青色光を照射した場合、顕著な増加が認められた。これらの結果から、照射時の温度や照射光の質がブルーベリー培養苗葉におけるAC生合成に大きな影響を与えることが分かった。また、多様なACを含有する果実と異なり、培養苗が含有していたACの9割以上はシアニジン系で、主たる構成成分は、シアニジン3-ガラクトシドおよびシアニジン3-アラビノシドであった。したがって、AC生合成の制御機構は、葉と果実とでは異なっている可能性が高いことが推測される。 cDNAサブトラクション法により単離した5種類のアントシアニン生合成関連遺伝子(CHS1、CHS2、F3H、F3’HおよびLDOX)、およびregenerated PCR法により単離した4種類のAC生合成関連遺伝子(DFR、LAR1、LAR2およびANR)のブルーベリー培養苗葉における短期間強光照射による発現を、RT-PCR法を用いて解析した。CHS1、CHS2、F3H、LDOX、LAR2およびANRにおいて、強光照射開始後6時間で、発現の増加が認められた。DFRにおいては強光照射開始後24時間で発現が強くなった。また、F3’HおよびLAR1においては短期間の強光照射では発現に大きな変化は認められなかった。このように短期間の強光照射により、ブルーベリー培養苗葉において多くのAC生合成関連遺伝子の発現が増加することが分かった。以上の結果から、強光照射時、ブルーベリー葉において、AC生合成系は素早く活性化され、ポリフェノールを短期間のうちに合成することで強光ストレスに対応していると推測される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
紅葉現象が発現する環境条件を特定するため、10℃から30℃の異なる温度下において、LEDによる青色光および赤色光の光照射試験を行った。その結果、ブルーベリー培養苗葉におけるアントシアニン(AC)生合成は、照射時の温度や照射する光の質に大きく影響を受けることが分かった。研究費の削減により、当初予定していたLEDに昼白色蛍光灯等を補光し、かつ温度を変化させた光照射実験や、異なる栄養条件下での光照射実験はできなかったが、それを除けば、ほぼ概ね予定どおり研究を実施することができ、ブルーベリー培養苗葉において紅葉が生じる環境条件をある程度決定することができた。 ブルーベリー培養苗葉におけるAC生合成関連遺伝子の発現機構解明のため、研究開始前にすでに単離済みのAC生合成関連遺伝子、ロイコアントシアニジンレダクターゼ(LAR)、ロイコアントシアニジンオキシゲナーゼ(LDOX)およびジハイドロフラボノール4-レダクターゼ(DFR)に加え、cDNAサブトラクション法またはregenerated PCR法により、カルコンシンターゼ(CHS)、フラバノン3-ヒドロキシラーゼ(F3H)、フラボノイド3´-ヒドロキシラーゼ(F3´H)およびアントシアニジンレダクターゼ(ANR)を単離した。これらの遺伝子の発現をRT-PCR法により解析した結果、短期間の強光照射により、ブルーベリー培養苗葉において多くのAC生合成関連遺伝子の発現が増加することが分かり、強光照射時におけるAC生合成関連遺伝子の発現について解明することができた。AC生合成系の制御遺伝子と考えられているMYB遺伝子は、cDNAサブトラクション法では単離できなかったので、現在regenerated PCR法による単離を実施しているところである。MYB遺伝子が単離できていないことを除けば、ほぼ予定通りに研究を推進することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
紅葉に関与する遺伝子の網羅的な解析を行っていくため、以下のような試験を実施する。 前年度実施できなかった、LEDに昼白色蛍光灯を補光し、かつ温度を変化させた光照射実験や、異なる栄養条件下での光照射実験を行い、総AC含量の変動を調査する。regenerated PCR法を用い、AC生合成制御遺伝子であるMYBやcDNAサブトラクションでは単離できなかったその他のAC生合成関連遺伝子の単離を行う。また、前年度発見した紅葉が生じる環境条件での、ブルーベリー培養苗葉におけるAC生合成関連遺伝子の発現をRT-PCR法により解析する。それらの試験結果をまとめ、それぞれの遺伝子間の関係を詳細に解析することで、紅葉現象の解明を行っていく。 実際の圃場におけるブルーベリー葉の総AC含量およびAC生合成関連遺伝子発現解析を実施することにより、紅葉現象のさらなる解明に努める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
アントシアニン生合成関連遺伝子の単離および発現解析や、アントシアニン解析を行うために、消耗品費を使用する。また、週2回程度の培養苗の育成・管理を行う人員を雇用するために、人件費を使用する。
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