2011 Fiscal Year Research-status Report
シュートヒーテイングしたスイカ果実の果肉温度、糖集積関連酵素および糖の偏在性
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23658034
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Research Institution | Ishikawa Prefectural University |
Principal Investigator |
加納 恭卓 石川県立大学, 生物資源環境学部, 教授 (80115823)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | シュートヒーテイング / 細胞の大きさ / 酸性インベルターゼ / ショ糖リン酸合成酵素 / スクロース含量 |
Research Abstract |
スイカの早春の早出し栽培では,果実外側部の甘味が極端に低下する.加納はシュートヒーテイングするとスイカ果実中の糖含量が増大することを明らかにしているが,果実中の局在性については不明である.そこで,シュートヒーテイングしたスイカ果実中の各部位における細胞の大きさ,糖集積関連酵素活性およびスクロース含量との関係を調査した. 2011年5月10日に開花した果実の近傍の蔓約15cmを最低温度を32℃で20日間加温した.6月4日(開花25日目,加温処理終了時)に果実を採取し,果実を赤道面で折半し,果肉赤道面温度を赤外線サーモグラフィーで測定し,赤道面の各部位の細胞の大きさ,酸性インベルターゼ(AI),ショ糖リン酸合成酵素(SPS)およびスクロース含量について調査した.ハウス内最低温度は15℃以下であったが,装置内温度はほぼ32℃であった.サーモグラフィーによる赤道面の果肉温度は,無加温区の中心部,中央部(外側部と中心部の中間部),果皮部の温度はそれぞれ25.3℃,24.8℃,23.4℃であったのに対し,加温区では26.8℃,26.3℃,24.5℃と1℃以上高くなった.細胞は,無加温区では外側部で小さく中心部にいくに伴い大きく,加温区では中央部で大きくなった.AI活性は加温区で小さく,無加温区との差異は,中央部で最も大きかった.SPS活性は,加温区の中央部で大きかったのに対し,無加温区では中心部で大きくなったので,SPS活性の部位的差異は,中心部で小さく中央部で大きくなった.スクロース含量は,両区とも中央部で大きく,加温区の中央部でより大きくなった.このように,シュートヒータで加温すると,果実中央部から外側部にかけての細胞の肥大成熟が促進される結果,中央部から外側部におけるAI活性の低下とSPS活性の増大が起こり,その結果,中央部におけるスクロース含量が大きくなるものと考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
シュートヒーテイングしたスイカ果実における,細胞の大きさ,AIおよびSPS活性,そしてスクロース含量との相関関係が極めて明確になったため.すなわち,シュートヒーテイングを行うと果実外側部の果肉細胞の肥大が促進され,AI活性が低下,SPS活性が増大し,その結果スクロース含量が外側部で大きくなる.
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度は果実発育中期の1時期だけの,果実内における細胞,酵素,糖含量の局在性を調査したが,今年度はこれらの局在性が果実発育に伴いどのように変化するかを調べる.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究の推進方策に従い,細胞の形態観察,酵素活性,糖含量に関連する物品を購入する.
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Research Products
(8 results)