2011 Fiscal Year Research-status Report
植物ウイルスの病原性決定機構の解明によるウイルスワクチンの開発
Project/Area Number |
23658042
|
Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
三好 洋 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (80322519)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
友尾 幸司 大阪薬科大学, 薬学部, 准教授 (70257898)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
Keywords | カブモザイクウイルス / VPg / シロイヌナズナ / eIF(iso)4E / 翻訳 / 洋種山牛蒡 / PAP / RIP |
Research Abstract |
本研究課題の目標は分子生物学および構造生物学的な面からのウイルス蛋白質VPgとポティウイルスの病原性との関係の解明である。これまでに、カブモザイクウイルス(TuMV)のVPgがシロイヌナズナのeIF(iso)4Eと結合し、その結合を介してeIF(iso)4Fとの三者複合体を形成することを明らかとした。さらに、VPgのウイルスゲノムRNAの翻訳開始への直接的な関与の可能性を指摘した。これらの現象は、このTuMVのVPgとシロイヌナズナのeIF(iso)4Eとの結合が植物RNAウイルスが宿主細胞に侵入して感染を成立させ、植物RNAウイルスの感染増殖過程に関与していることを示唆する。また、VPgによる宿主植物細胞の翻訳阻害の可能性について小麦胚芽無細胞翻訳系を用いて検討し、VPgの添加が翻訳効率を低下させることを見出した。この結果は、VPgによる宿主細胞mRNAの翻訳阻害はVPgの翻訳開始因子への結合阻害によるものであることを示している。次に、VPgのeIF4Eアイソフォームへの選択性をmRNAキャップ構造への結合の有無の状態で、表面プラズモン共鳴(SPR)法により測定した。その結果、eIF4EアイソフォームのC末端が相互作用に重要であることも見出した。昨年度、分子生物学的な面からの検討では、これまでの研究成果の蓄積を活かして、洋種山牛蒡抗ウイルス蛋白質(PAP)とVPgとの相互作用を、蛍光滴定法による反応速度論的な解析と蛋白質生合成への影響で検討した。その結果については現在論文投稿中である。VPgの結晶化の検討については検討を進めたが、残念ながら、芳しい結果を得ることは出来なかった。本研究課題の進行上から得られた技術および知見により学会発表を行ったので、併せて報告させていただきたい。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
分子生物学的検討に関してはほぼ予定通り進められているが、構造生物学的検討についてはVPgの結晶化に成功していないために計画よりも遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は、計画よりも達成度が遅れているVPgの結晶化に絞って検討を進めて予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ほぼ申請書に沿って使用する予定であるが、達成度が遅れているVPgの結晶化に関する試薬などに大きく配分する予定である。また、研究計画最終年度であるため、学会発表にも使用する予定である。
|
Research Products
(1 results)