2012 Fiscal Year Annual Research Report
植物ウイルスの病原性決定機構の解明によるウイルスワクチンの開発
Project/Area Number |
23658042
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
三好 洋 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (80322519)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
友尾 幸司 大阪薬科大学, 薬学部, 准教授 (70257898)
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Keywords | カブモザイクウイルス / VPg / 翻訳開始因子 / アメリカヤマゴボウ / PAP / RIP / IRES |
Research Abstract |
これまでに、我々はカブモザイクウイルスのゲノム結合蛋白質VPgのウイルスゲノムRNAの翻訳開始への直接的な関与の可能性を指摘した。このVPgと宿主植物の翻訳開始因子との結合が植物RNAウイルスの感染過程に関与していることを示唆する。また、VPgの添加が宿主植物細胞の翻訳効率を低下させることも見出した。この結果は、VPgによる宿主細胞mRNAの翻訳阻害はVPgの翻訳開始因子への結合阻害によるものであることを示している。 そこで本研究課題では、アメリカヤマゴボウの抗ウイルス蛋白(PAP)とVPgとの相互作用を、蛍光滴定法による反応速度論的な解析と蛋白質生合成への影響で検討した。この様な基礎的な検討の集積が、VPgによる植物の防御機構の抑制メカニズムの理解、つまり植物ウイルスの病原性決定機構の解明へと繋がる。 PAPは、rRNAの特定のプリン残基を切断するRNA N-グリコシダーゼであり、リボソーム不活化タンパク質(RIP)として知られる。PAPはキャップ結合タンパク質でもあり、有力な抗ウイルス物質としても知られている。一方、VPgはキャップのないIRESを持ったRNAに対するPAPを標的とすることができると考えられている。そこで、RNAの脱プリン反応のメカニズムを解明し、かつPAPがどのように様々なRNAを認識するかを理解するために、PAPの脱プリン反応活性およびPAPとVPgとの相互作用を、定量的に蛍光分光法などで検討した。その結果、PAPはVPgに対して高い親和性(Kd = 29.5 nM)を示し、VPgは小麦胚芽抽出液中でのRNAのPAPによる脱プリン反応の強力な阻害活性を示し、タバコエッチウイルスに由来したRNA構造とPAPへの結合に関して拮抗を示した。この結果は、VPgが植物の防御機構を抑制し、RIPの細胞毒性に対するVPgの有用性を示唆するものである。
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Research Products
(3 results)