2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23658045
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
柳沼 利信 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (60135332)
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Keywords | カイコ / 胚休眠 / 化性遺伝子 / ポジショナルクローニング / 休眠進化 |
Research Abstract |
カイコは卵期(胚期)で休眠する昆虫である。この休眠(発育停止)を誘導する因子は、母親の食道下神経節が作り出す神経ペプチドホルモン(休眠ホルモン)である。雌の蛹-成虫期間に卵巣発育が進行するが、この期間に血液中に放出された休眠ホルモンは発育中の卵母細胞に作用し、休眠ホルモン・シグナルを伝達する。このシグナルを受容した卵のみが産卵・受精後の発育初期(中胚葉分節化直後)で休眠に入る。カイコでは、環境に関係なく1年に一度必ず休眠に入る「強制休眠系統」(一化性)、環境条件に依存し休眠するかどうかを判断する「随意休眠系統」(二化性)、および環境に依存せずにまったく休眠しない「非休眠系統」(多化性)が知られている。非休眠系統と休眠系統の交配実験から、胚休眠に関わる遺伝子が想定され、化性遺伝子または休眠性主遺伝子と呼ばれている。この遺伝子が休眠ホルモンの合成・分泌に関わる遺伝子と考えられる。この化性遺伝子を単離し、カイコの休眠進化を考察することを目的とした。 平成23年度では、ポジショナルクローニングを開始し、back-crossの2世代まで交配を薦め、候補遺伝子を15遺伝子まで絞り込むことができた。今年度は、さらに解析をすすめた。特に、候補遺伝子15個について、定量的リアルタイムPCRを進め、雌蛹の脳・食道下神経節における各mRNA量の発現を調査し、脳・食道下神経節での発現が認められるか、その中で非休眠系統と休眠系統で発現に差異が認められるかを検討した。この結果、候補遺伝子を5遺伝子までに絞り込むことが出来た。 さらに、候補遺伝子の非休眠系統および休眠系統で発現しているmRNAの塩基配列を求め、比較しているところである。
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