2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23658049
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
渡辺 雅夫 山口大学, 理工学研究科, 准教授 (00034992)
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Keywords | 超音波 / 農業害虫 |
Research Abstract |
本研究は果樹園に飛来し、吸汁加害をもたらす吸汁ヤガ類に対して有効な防蛾効果を示した超音波発信機を、より広く農業害虫等へ防虫設備として応用する可能性を探るため、圃場等で問題とされる昆虫に対してその適応範囲を調べることを目的としている。 複数の農業技術支援センター等から問合せがあった昆虫を中心し、超音波発信機の効果やその昆虫の超音波反応性を調べた。斑点米カメムシであるアカスジカスミカメでは、超音波発信機の効果が認められず、超音波域の音に対する感受性がほとんどないことがわかった。幼虫期に野菜等に食害をもたらすハスモンヨトウでは、超音波発信機の効果が限定的であり、超音波反応性において、吸汁ヤガ類と異なってパルス長5~10ミリ秒程度のパルスへの反応閾値の低下が見られなかった。これは同様に幼虫期に野菜等に食害をもたらすヨトウガとは異なる反応性であったが、パルス頻度に対する反応性においては、数十ヘルツの超音波パルスに対して反応閾値の低下が見られた。これらのことは、適切なパルス頻度、パルス長を選択することで、農業害虫への防虫効果を得られる可能性を示唆している。 ノシメマダラメイガは超音波を用いて雌雄コミュニケーションを取る蛾としても知られているが、コミュニケーションに使われているパルスパターンよりも反応閾値の低いパルスパターンが存在することがわかった。これが防虫効果を持つか否かは、今後の検討課題である。 超音波により防虫効果を検討する方法として、ライトトラップやフェロモントラップを用いて蛾類を誘引し、その周囲に超音波発信機を配置することで忌避効果を調べる方法は、雌雄個体の超音波反応閾値に大きな差が見られていないことからスクリーニング法としては有効であると思われた。
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Research Products
(2 results)