2011 Fiscal Year Research-status Report
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23658051
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
吉賀 豊司 佐賀大学, 農学部, 准教授 (00312231)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 線虫 / ウイルス / 病原体 / 微生物 / 感染 |
Research Abstract |
これまで線虫に感染するウイルスをはじめ、線虫病原体に関する情報は少ない。本研究では、ウイルスや細菌などの微生物を用いた植物寄生性線虫の防除への応用や線虫とこれらの微生物との感染機構の解明、また、これら病原体が線虫相に与える影響を理解するため、ウイルスを中心に新規線虫病原体を検出するシステムを構築し、それらの単離・同定を行うことを目的として研究を行った。1.線虫の形態、行動、生存、増殖に基づく検出。土壌中から分離した線虫を寒天プレート上で培養し、形態、行動、生存、増殖を観察することによって異常を示す個体の探索を行ったところ、現在のところ病原体によると思われる明らかな異常を示す線虫は見つかっていない。現在も継続して観察するとともに、検出方法の改良を試みている。2.ベイト法によるウイルスの検出。C. elegansの無菌培養を行い、野外から採取した線虫の破砕液をフィルター滅菌した後に添加し、線虫に何らかの影響が見られるかを調べたところ、線虫の尾部が膨らむ現象がみられた。この原因について解明するため、培養上清液を新たな健全個体の入った無菌培養液に添加し、その再現性について現在観察を行っている。また、土壌中に存在すると思われる病原体に直接感染させるため、土壌懸濁液中にC. elegansを添加し、一定時間接触させた後、C. elegansをプレート上に移し、形態的変化のみられた個体を1頭ずつ取り上げて新しいプレートに移したところ、腸の色が濃いプレート、卵巣の形態に異常が見られるプレート、死体の多いプレート、細菌のコロニーができることによって線虫の死亡個体がみられるプレートがそれぞれ19、1、5、1プレートみられた。その後の形態および増殖の様子を観察し、その原因の追求を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
形態的な異常がみられる個体を得ることができたり、また、プレート上で線虫が死亡させる細菌を単離できたため、おおむね順調に研究は進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在行っているスクリーニング方法を改良しながら、引き続きスクリーニングならびに観察を行い、さらに病原体の単離を行っていく。また、異常のみられた個体に関してはその原因について検討するとともに、病原体の確認を行い、微生物によるものであれば同定を行っていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度はスクリーニング法の検討やスクリーニングを中心に行ったが、観察のための顕微鏡システムをより安く購入することができたため、次年度には、その研究費を得られた病原体の同定などのために活用していく。
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