2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23658052
|
Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
阿部 誠 秋田県立大学, 生物資源科学部, 准教授 (70414357)
|
Keywords | Bur gourd / Cucurbitaceae / Phytophagous insects / Resistance |
Research Abstract |
ウリ科食性甲虫のアレチウリに対する摂食行動の違いを明らかにするために、ウリハムシ成虫、トホシテントウおよびジュウニマダラテントウ終齢幼虫を対象として比較検討した。アレチウリ苗に供試虫を放し、3時間後の摂食状況を確認した結果、ウリハムシ成虫は、アレチウリ葉に複数の異なるトレンチを切り、その内部を摂食した。一方トホシテントウ幼虫はトレンチを切ったが、その内部は摂食しなかった。ジュウニマダラテントウはトレンチを切らず、アレチウリ苗にほとんど定着していなかった。以上の結果から、ウリ科食性甲虫類におけるトレンチ作成能力の可否が、アレチウリ葉の摂食を決定していると考えられたので、次に人工的にトレンチをアレチウリ葉に切り、供試虫を放して摂食するかどうかを調べた。その結果、すべての種が人工的に切ったトレンチの内部を選択して摂食した。以上の結果から、ウリ科食性甲虫類はアレチウリ篩管液の滲出が少ない部位を積極的に探索して摂食することが示唆され、特にウリハムシは、アレチウリ葉に2種類のトレンチを切ることで篩管液の滲出を抑制して、一種類のトレンチしか切れないテントウ類には摂食困難なアレチウリ葉を摂食できるものと推察された。また、ジュウニマダラテントウ幼虫のアレチウリ苗への定着率が低かったことから、アレチウリには本種の誘引物質の欠落あるいは忌避物質が存在しているものと考えられた。一方で、ウリハムシ成虫にアレチウリの苗と、本種の本来の寄主であるカボチャの苗を選択させたところ、アレチウリとカボチャを同程度に選好して摂食したことから、ウリハムシに対しては誘引・定着を阻害する物質は存在せず、むしろ誘引・定着を促進する物質が存在するものと考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年10月にアレチウリ栽培用の人工気象器が故障し、他の実験用植物の育成の必要もあったため、大学支援の研究費により人工気象器を新規購入して対応したが、アレチウリの育成に時間を要したため、当初予定していたアレチウリの揮発性成分の分析(GC-MS分析)と、アレチウリ苗および揮発性成分の標準品を用いた生物検定(揮発性成分の誘引試験)の進捗が滞った。このため、本研究の延長を申請し、平成26年度まで研究を延長することが許可された。すでに分析機器類はそろっているため、今後の研究の進捗に問題を生じることはない。予期せぬトラブルで研究予定に遅延が生じたが、ウリ科食性甲虫類のトレンチ行動とアレチウリの摂食行動との関係およびジュウニマダラテントウのアレチウリ苗への低い定着率、ウリハムシのアレチウリに対する選好性の高さなど、新たな知見が得られたことを考慮すれば、研究に一定の進展はあったと言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成25年度の結果から、ウリ科食性甲虫種のトレンチの作成能力によってアレチウリ葉を摂食できるかどうかが決定されていることが示唆されたことから、アレチウリの篩管液の滲出圧とトレンチ行動の関連性を調べる。また、ジュウニマダラテントウ幼虫のアレチウリ苗に対する定着率が他種に比べ著しく低かったことから、アレチウリ葉表面の化学成分および揮発性物質が影響を及ぼしている可能性が示唆された。したがって、平成25年度に実施予定であった、アレチウリの揮発性成分の分析(GC-MS分析)と、アレチウリ苗および揮発性成分の標準品を用いた生物検定(揮発性成分の誘引試験)の試験を実施する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年10月にアレチウリ栽培用の人工気象器が故障し、他の実験用植物の育成の必要もあったため、大学支援の研究費により人工気象器を新規購入して対応したが、アレチウリの育成に時間を要したため、当初予定していたアレチウリの揮発性成分の分析(GC-MS分析)と、アレチウリ苗および揮発性成分の標準品を用いた生物検定(揮発性成分の誘引試験)の進捗が滞った。 このため、当初予定していたアレチウリの揮発性成分の分析と生物検定は次年度に行うこととし、未使用の経費は、上記研究に必要な消耗品(アレチウリの栽培管理に必要な資材、化学分析のための試薬類、昆虫の飼育および生物検定に必要な試薬・器具類)の購入費および研究成果の投稿論文作成費(英文校閲、投稿費)に充てることとしたい。
|
Research Products
(1 results)