2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23658054
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Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
野田 博明 独立行政法人農業生物資源研究所, 昆虫科学研究領域, 特任上級研究員 (40343991)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 由記子 独立行政法人農業生物資源研究所, 昆虫科学研究領域, 主任研究員 (80414944)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | ABCトランスポーター / トビイロウンカ / 殺虫剤抵抗性 / 薬剤耐性 |
Research Abstract |
殺虫剤抵抗性の機構に関しては、これまで大きな二つの要因が考えられてきた。標的分子の変異によって薬剤に対する感受性が低下することと薬剤の分解酵素活性の増大により薬剤代謝が促進されることの二つである。その他の機構、例えばほ乳類や微生物で知られている薬剤排出機構に関しては、ほとんど研究が行われていない。そこで、薬剤排出を担うと考えられるABCトランスポーターを見つけ出し、その機能をトビイロウンカで調べることを目的としている。 今年度はまず、候補となるABCトランスポーター遺伝子のcDNA全長配列を得ることを目指した。薬剤耐性に関わるほ乳類の遺伝子に配列が似ている昆虫のABCトランスポーター遺伝子の塩基配列をもとに、現在解析中のトビイロウンカのゲノム配列を検索した。ABCトランスポーター遺伝子は多く存在し、全体の構造も似ているので、ゲノム配列をもとに、候補となるいくつかの断片配列を得ることにした。エクソン部分からプライマーを設計し、ウンカのcDNAを用いてPCRを行い、もっとも薬剤耐性に関わる遺伝子に配列の似ている遺伝子を特定し、最終的に2本(1,522アミノ酸と1,396アミノ酸)の遺伝子を全長クローニングした。これらの遺伝子は、ABCドメインを二つずつ持ち、それぞれWaker A, Waker B, C-motifを有していた。また、12箇所の膜貫通領域が推定された。これらの遺伝子機能を解析するために、現在cDNA全長配列を発現ベクターに組込む操作を遂行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ想定通りに、候補となるABCトランスポーター遺伝子cDNAの全長を取得できた。これにより、来年度は機能解析を進めることができる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度得た遺伝子を発現ベクターに組込み、昆虫細胞で発現させる。そして、昆虫細胞に薬剤排出機能を付与できるかどうかを確認する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
細胞培養用培地や遺伝子塩基配列解析の試薬などを購入する。旅費は、学会出席などに使用する。また、培養細胞の維持や遺伝子配列解析を行う際の補助者を雇用する。
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