2011 Fiscal Year Research-status Report
高pH下でも安定な「鉄・キレート」を形成する化合物の探索
Project/Area Number |
23658059
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森 敏 東京大学, 農学生命科学研究科, 名誉教授 (90011915)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | オリーブ / 鉄キレート化合物 / 樹液 |
Research Abstract |
香川県小豆島を訪問し、多様な種類のオリーブ樹の施肥栽培管理現場を見学した。また香川県鬼無(きなし)のオリーブ栽培農家を訪問し、栽培上の問題点を詳細に教授頂いた。その後、この栽培農家から3種類のオリーブ(俗名:オレアユーロペー、ミッション、ネバー)苗を各20鉢ずつ入手した。各種4鉢から、抜き取って根をきれいに洗浄の後、水道水で通気しながら、循環水を金魚鉢用の濾過器で水をろ過しながら室温で水耕栽培した。根からの分泌物の採取に、無菌的な栽培が可能かをためしたのである。ところが栽培6ヶ月から根にねばねばした菌の繁殖を見た。これでは、根の分泌物を採集することが不可能とわかった。施肥はロングトータル7100(チッソ旭製)である。平行して各種7鉢を香川水田土壌で水道水栽培し、7鉢を貝化石土壌で蒸留水栽培した。同じく施肥はロングトータル100である。この目的は、樹木の枝をカットして、その導管液を採取するためである。植物の場合ムギネ酸の場合やプロトカテキ酸に見られるごとく、同種の排出トランスポーターを用いて鉄欠乏下でもしばしば根から根外への分泌物はおなじく導管にも分泌されている。このアナロジーで、微生物汚染がない導管液から、鉄キレート化合物を採集することに実験の目的を切り替えることにした。貝化石土壌区では特にオレアユーロペー種の根が浅い(水耕栽培で観察し、土耕栽培で掘り起こして、確認した)ためか、最新葉から鉄欠乏クロロシスを呈しはじめた。他の品種は比較的鉄欠乏耐性である。そこで、1年後にすべてのオリーブ樹から、植物の地上部3センチ上の基部をカッターで切断して、導管からのいっぴつ液を、エッペンドルフチューブに綿を詰めた容器で12時間から24時間採取した。各液から約10mgのいっぴつ液を採取できた。感触では液が粘っているので、オリーブオイル成分を含んでいるものと思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
オリーブは樹液であるので、成長が極めて遅い。大量の材料を調製するのに時間がかかっている。また、樹液を液体クロマトグラフィーで分別してから鉄キレート物質を蛍光法で高感度に検出するシステムの構築にも、時間がかかっている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は比較的大きなオリーブの樹を入手して、それを野外の人工気象器の中で育てて、各異なる部位の枝から、時期を置いて何回も樹液をサンプリングすることにする。総樹液量1mL採集を目標。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費の主な内訳は、「消耗品」として大型オリーブ樹、および高速液体クロマトグラフィーカラムの購入費。「その他」として天然光人工気象室使用料、TOF-MAS使用料、学会参加費を予定している。
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Research Products
(7 results)