2012 Fiscal Year Annual Research Report
高pH下でも安定な「鉄・キレート」を形成する化合物の探索
Project/Area Number |
23658059
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森 敏 東京大学, 農学生命科学研究科, 名誉教授 (90011915)
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Keywords | オリーブ / 鉄欠乏 / 鉄キレート剤の検索 |
Research Abstract |
香川県のオリーブ園芸業者からオレアユーローパ、ミッション、ネバの3品種のオリーブ樹(挿し木繁殖後2年目の幼木)を入手し、通常の沖積土壌(香川土壌)と鉄欠乏土壌(石川県貝化石土壌)で1年間人工気象器栽培した。一方野外温室で3種を水耕栽培した。土耕栽培での鉄欠乏に対する耐性の順位はネバ>ミッション>オレアユーローパで、水耕栽培の観察結果からは耐性が弱いものは根が浅くバイオマスが少ないと考えられた。他方、継続的に水耕栽培を続けると根の周りに微生物によるバイオフィルムができるので、根分泌物の採取は困難と判断した。そこで2年目からは、これまでの鉄栄養の研究から「根圏への分泌物は導管へも分泌される」のアナロジーで、導管への分泌物を無菌的に採取することにした。人工気象器で14時間(明:30℃)-10時間(暗:25℃)の周期で上記の2種類の土壌条件下でオリーブ栽培を続け、20週目に木の根本から5センチ高の部位で枝を切断して導管を露出し、切断面に直ちに2mLのエッペンチューブに脱脂綿を詰めたものをかぶせ、クッキングホイルで遮光して人工気象器内に放置した。24時間後に脱脂綿への分泌成分を70%エタノールで抽出し、エタノールを蒸散させた後この成分(6点)をメタボローム解析にかけた(民間委託)。検出された化合物総数は6087個であった。この中から品種ごとにアルカリ土壌で特異的に誘導される化合物を検索し、オレアユーローパ1527個、ミッション978個、ネバ4173個を見出した。アルカリ土壌で3品種共に共通に含まれる化合物は469個であった。これらの化合物から鉄キレート力のあるカテコール系やヒドロキサム系化合物に的を絞り、3価鉄や2価鉄と特異的に反応する化合物を選抜して行く予定である。実際の「キレート・鉄」化合物の同定は、入手可能な試薬から購入し我々が別途開発している蛍光クロマト法で行う予定である。
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Research Products
(15 results)