2013 Fiscal Year Annual Research Report
糸状菌のサイレントパラログの選択的発現活性化機構の解明
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23658065
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
五味 勝也 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (60302197)
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Keywords | 遺伝子クラスター / トランスポーター / 転写因子 / ホモログ遺伝子 / アミラーゼ生産 / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
麹菌のMAL資化クラスターに存在するマルトーストランスポーターMalPの欠損株と野生株におけるα-アミラーゼ生産と培地からのマルトース取込みの関連を調べた結果、MalP欠損株ではマルトースの取込みが野生株に比べて著しく遅く、それに対応してα-アミラーゼ生産が遅延したことから、MalPが麹菌における主要なマルトーストランスポーターであることならびにアミラーゼ生産の誘導に重要な役割を果たしていることがあらためて示された。 麹菌のMALホモログクラスター中に存在する3遺伝子(malPホモログ, malTホモログ, malRホモログ)のうち、malPホモログについて、酵母および麹菌のマルトーストランスポーター欠損株を用いて、導入発現させて相補性を調べたところ、マルトース培地での生育が回復したことから、ホモログはマルトース取込み活性を有することが明らかとなった。一方、malRホモログについても同様の解析を行ったが、相補できなかったことから、酵母内での相補機能はなく、MalRの機能も代替できないものと考えられた。また、野生株について、マルトース、グルコース、グリセロールなどの各種炭素源を含む液体培養や炭素源飢餓培養など調べた培養条件では発現が上昇することは認められなかった。 MALクラスター内に存在するmalPおよびmalRとMALホモログクラスター内のmalPホモログとmalRホモログのそれぞれ2重破壊株を作製し、マルトース資化性やアミラーゼ生産性に及ぼす影響を調べたが、malP破壊株ならびにmalR破壊株と大きな差は認められなかった。このことから、MalPホモログとMalRホモログがmalPやmalR破壊株におけるマルトース取込みに関与しておらず、マルトース低親和性の他の糖トランスポーターが関わっていると考えられた。
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