2012 Fiscal Year Annual Research Report
プラズマローゲン含有口腔内細菌を駆使した認知症予防戦略
Project/Area Number |
23658066
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
神尾 好是 東北大学, 生命科学研究科, 客員研究員 (00109175)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 淳 東北大学, 農学研究科, 准教授 (30221188)
|
Keywords | プラズマローゲンリン脂質 / ヒト認知症予防 / Selenomonas 属細菌 / γセクレターゼ / 酵母ミクロソ-ム画分 / ベータアミロイド |
Research Abstract |
ヒト脳の神経細胞のアポトーシスの防御リン脂質プラズマローゲン(Plasmalogens; 以降Pls)が本研究代表者らによりヒト口腔内細菌 Selenomonas sputigenaに発見された。我々は、アルツハイマー型認知症(AD)患者脳内で Plsが減少するという知見から、AD の発症に関わるアミロイドβタンパク質(Aβ)を生産する膜酵素γ-セクレターゼ(γS)の活性に、膜のリン脂質組成および Pls の存在が関与すると予想した。これを明らかにすることができれば、AD の発症機構の発見に通じる。 23年度は、最初に、酵母のミクロソーム膜画分を利用したγSのin vitroアッセイ系を確立した。本系を駆使して、γSが包埋されている酵母ミクロソーム画分の脂質を様々な生体膜構成リン脂質と置き換えることによるγSの活性への影響を解析し、以下のことを明らかにした。(1)フォスファチジールコリン(PC)はAβ産生量を約2 倍に高める。(2)PC とPL型フォスファチジールエタノールアミン(PE)の混合脂質での再構成実験から、PE の割合が高くなるとγS活性が極めて強く抑制される。 24年度は、PC と PE または PEPls の量比を変化させ、γS活性抑制効果を解析し、次のことを明らかにした。(1)PE の単独添加は、Aβ産生を減少させるが PEPls に比べ高い添加量が必要である。(2)PE+PEPls 混合系では、それぞれの単独添加より強いγS活性抑制効果がある。(3)PC:PE:PEPls = 80:8:12 で全 Aβ産生量が約 66 % に減少する。 以上のことから、我々は、AD 患者脳内でγSが存在する膜系のEPPlsの割合が減少したことでγS活性が亢進し、Aβの産生、蓄積が促進された可能性があると結論した。以上の発見は世界で初めてである。論文投稿準備中である。
|
Research Products
(6 results)