2012 Fiscal Year Annual Research Report
細胞外小胞は、異種細菌間情報伝達のシグナル運搬役となりうるか?
Project/Area Number |
23658068
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
野村 暢彦 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (60292520)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 幸治 筑波大学, 生命環境系, 教授 (40212097)
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Keywords | 細菌 / メンブランベシクル / 細菌シグナル |
Research Abstract |
グラム陰性菌でメンブランベシクルと呼ばれる小胞体を細胞外に生産することが明らかとなっている。メンブランベシクルは外膜から遊離した直径20~250 nm の細胞外小胞であり、タンパクが多く含まれる。さらには微生物間コミュニケーションで用いられるシグナル物質の運搬体としても働いている。細胞外に放出されたベシクルは同種の細胞に融合することが観察されているが、果たして異種間でそのような現象が起こるのかについてはほとんど分かっていない。こうした知見を得ることはメンブランベシクルの生理的、生態的意義解明へ向けての第一歩となる。そこで、本研究では、まず、Pseudomonas aeruginosa により生産されたメンブランベシクルが異種細菌に融合するのかを調べた。Pseudomonas aeruginosaが生産したメンブランベシクルを回収し、それをFITCにより蛍光ラベリングした後に3回洗浄し、Bacillus subtilis, Pseudomonas putida, Pseudomonas stuzeri, Pseudomonas denitrificansに暴露した。30℃で2時間培養後、細胞を生理食塩水で洗浄し、細胞の蛍光強度を測定した。その結果、メンブランベシクルを暴露したサンプルでは蛍光が検出された。この結果は蛍光ラベルされたメンブランベシクルが細胞に融合したころを示唆している。しかし、メンブランベシクルに含まれるシグナル分子が、相手側細胞に伝達されたかは、Pseudomonas aeruginosa以外のグラム陽性細菌を含む他の細胞では確認出来なかった。今後、さらに詳細に調べる必要がある。
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