2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23658069
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
北本 勝ひこ 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (20272437)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | オートファジー / 麹菌 / 糸状菌 |
Research Abstract |
麹菌からオートファジーの初期ステップ(誘導)としてAoatg1とAoatg13を、中期ステップ(オートファゴソーム形成)としてAoatg4、後期ステップ(液胞内での分解)としてAoatg15遺伝子の単離と破壊株の作成を行い、その表現型の解析を行った。いずれの破壊株も気中菌糸の生育が悪く、分生子形成の不全が観察された。その他、菌糸融合に関与する菌核形成に対する影響についても調べた。選択的オートファジーに関与する酵母ATG11のホモログ遺伝子Aoatg11を麹菌から単離し、EGFP融合による局在解析、ならびに破壊株の作成によりその機能解析を行った。Aoatg11破壊株は、生育に関しては野生株と大きな差異は認められなかったが、ペルオキシソームの選択的分解(Pexophagy)に関与していることが明らかになった。酵母での選択的オートファジーとしてcvt経路が最もよく解析が進んでいる。このcvt経路で運ばれるアミノペプチダーゼ(Ape1)の麹菌ホモログ遺伝子(Aoape1)を単離し、局在解析を行った。酵母のcvt経路でのレセプターであるATG19の麹菌ホモログの探索として、AoApe1及びAoatg8をbaitとして酵母ツーハイブリッド法により、機能的なホモログの探索を試み、13のpreyを候補遺伝子として取得した。以上のように、酵母と異なる糸状菌特異的なオートファジーに関与していると思われる遺伝子の解析を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
酵母のcvt経路でのレセプターであるATG19の麹菌ホモログの探索として、酵母ツーハイブリッド法により、機能的なホモログの探索を行い相互作用すると思われる候補として13遺伝子を同定した。これらの中には、酵母ATG19と部分的にも相同性があるものはなかったことから、麹菌ではまったく別のレセプターが働いていることが想定される。今後、これらの遺伝子破壊株の作成などにより、目的のものが含まれているか解析を進める必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
酵母ツーハイブリッド法により得られた候補遺伝子の解析を進め、糸状菌特異的な選択的オートファジーに関連した遺伝子の同定を進める。最近、他の糸状菌で選択的オートファジーのレセプターと思われるものが報告されているので、これらの麹菌ホモログ遺伝子を単離して機能解析も行う予定である。また、選択的オートファジーの一つであるPexophagyに関与するAoatg11に関して、ミトコンドリアの選択的オートファジー(Mitophagy)にも関与しているかについて解析を進める。麹菌において、cvt経路で運ばれる酵素としてアミノペプチダーゼ(AoApe1)以外にも多数の酵素が想定されるので、これらの候補遺伝子について個別に解析を行う。以上のような解析により、糸状菌特異的なオートファジーの機能の一端を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
オートファジー関連遺伝子の機能解析のため、EGFPを用いた局在解析、と遺伝子破壊株の取得による機能解析などが主体となり、これらに必要な消耗品の購入に使用する予定である。また、得られた成果の発表のための経費支出を予定している。
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