2012 Fiscal Year Research-status Report
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23658073
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
高田 綾子 東京工業大学, 技術部, 技術職員 (20401565)
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Keywords | RNA代謝 / 抗生物質 / Hfq |
Research Abstract |
Hfqタンパク質の過剰発現はFtsZタンパク質の合成低下を引き起こし、細胞分裂を阻害する。この分裂阻害を指標にし、Hfqの関わるRNA代謝を標的とした新規スクリーニング系を構築した。具体的にはHfqの発現がIPTG誘導可能な菌株JM109/pHFQ701を含んだ寒天プレート上に、サンプル溶液を浸み込ませたペーパーディスク(直径8 mm)を置き、30℃で培養し、ペーパーディスクの周辺にコロニー形成が見られるようなサンプルを探索した。 まず、既知の薬剤を用いて探索を行った結果、Rifampicinが濃度依存的に生育を回復することを見出した。Rifampicin はRNA合成阻害剤であり、RNA合成を介してHfqタンパク質の発現を調節している可能性が考えられる。これにより、本スクリーニング系の有効性が示された。続いて、これまでに収集した土壌分離菌のライブラリーを用いて探索を行った。その結果、コロニー形成を回復させるサンプルを3サンプル見出した。これらはRifampicinとは異なる挙動を示した。本スクリーニング系により、Hfqタンパク質の発現を抑制する化合物やHfqの機能を抑える化合物が見出されてくると考えられる。そのような薬剤が見出されることにより、細胞分裂および酸化ストレス防御機構、酸耐性機構に関与する遺伝子発現を抑制できると思われる。これまでRNA代謝を標的とした薬剤は見いだされていないため、新規標的を有する薬剤を得られることが期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
構築したスクリーニング系の有効性が確認でき、土壌分離菌のライブラリーからHfqタンパク質の発現を抑制するもしくはHfqの機能を抑えると思われる化合物を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度に引き続き、昨年度構築された系を用いてHfqの関わるRNA代謝に作用する化合物のスクリーニングを押し進める。また、今年度見出された化合物について構造を決定する。 さらに、RNA代謝を標的とする薬剤について得られた結果をまとめ、研究成果として発表する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度は研究費を効率的に使用したため、未使用額が発生した。未使用額については、次年度の計画遂行のために使用する。研究費は主に必要な試薬、器具類の購入のために消耗品費として使用する。また、2013年6月メキシコにて開催の国際シンポジウム「12th International Symposium on the Genetics of Industrial Microorganisms(GIM-2013)」において研究成果発表を行うための国外旅費として使用する。
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