2013 Fiscal Year Annual Research Report
微生物金属代謝能を利用した機能性金属ナノ粒子合成系の開発
Project/Area Number |
23658078
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川本 純 京都大学, 化学研究所, 助教 (90511238)
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Keywords | 微生物機能 / 極限環境微生物 / 金属呼吸 / 金属ナノ粒子 |
Research Abstract |
H24年度に中国内モンゴル自治区草原地域より見いだした銀ナノ粒子合成能を有する Psseudomonas 属細菌は、硝酸銀存在下で粒径約 20 nm にサイズ加工された銀ナノ粒子を合成する。本菌由来の銀ナノ粒子は、本菌の細胞膜表層で合成されることが示唆された。また、硝酸銀と同様に塩化金を添加した場合、金ナノ粒子も合成されることがわかった。本菌は、多様な触媒活性を有する銀、および金ナノ粒子を合成する仕組みを有していることが示された。一方で、多様な金属酸化物を用いた金属呼吸能を有する金属還元性細菌 Shewanella livingstonensis Ac10 の金属呼吸機構を解析した結果、本菌は三価鉄(クエン酸鉄)誘導的にリン酸選択的チャネルタンパク質 PhoE を生産することがわかっている。本菌の PhoE 欠損株はフマル酸を電子受容体としたときは野生株と同様に生育するが、クエン酸鉄存在下では顕著に生育能が低下することがわかった。PhoE の発現はクエン酸鉄存在下で転写レベルで誘導されるが、金属呼吸における PhoE の生理的役割は明らかでない。最終電子受容体を難溶性の三価鉄(酸化鉄)を用いたとき、PhoE の欠損は酸化鉄の還元には影響せず、培養に伴って四酸化鉄が生じることがわかった。以上の結果は、本菌の金属呼吸において PhoE は可溶性の三価鉄の還元に重要なチャンネルタンパク質であることが示された。
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