2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23658083
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Research Institution | National Institute for Agro-Environmental Sciences |
Principal Investigator |
北本 宏子 独立行政法人農業環境技術研究所, その他部局等, 研究員 (10370652)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 重信 独立行政法人農業環境技術研究所, その他部局等, 研究員 (90354125)
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Keywords | 酵母 / 植物 / 接着 / 拡散 |
Research Abstract |
葉面常在酵母が、植物表面に接着し、生息域を確保する仕組みは未解明である。イネ常在酵母Pseudozyma antarcticaは、液体培養中で、糖脂質であるマンノシルエリスリトール(MEL)を著量分泌する。MELは、固体表面の「ぬれ性」を高める優れた形質等から、化粧品素材等に実用化されている。本研究では、P. antarcticaの植物表面での生活におけるMELの役割を明らかにすることを目的として、葉の表面における細胞形態の観察とMEL生合成を調べ、MELが常在菌の葉面での生息域拡大に寄与ことを見出した。詳細は以下の通り。 MEL生産P. antarctica T34株と、MEL合成に必須であるマンノース転移酵素遺伝子(EMT1)を破壊したMEL非生産株(Δemt1株)を実験に用いた。植物葉面上でT34株細胞は、伸張しつつ成長し、葉の表面を覆うように生息域を広げるが、Δemt1株は、滴下した部位に留まっていた。葉面のΔemt1株細胞にMEL溶液を滴下したところ、細胞が伸張し、菌塊が葉の表面に広がる現象が観察できた。従って、MELは、P. antarcticaの細胞の伸張と固体表面での生息域拡大に寄与していると考えられる。 次に、P. antarcticaによる植物上でのMEL生産を明らかにするため、T34株懸濁水溶液に切り葉を加えて静置したところ、MELの生産量は増加し、静置後4日目が最大となった。続いて、ポット栽培のムギの葉面にT34株を接種後、定量的RT-PCR でMEL生合成遺伝子(EMT1およびMMF1)の発現量を計測した。その結果、両遺伝子とも接種4日目以降に発現量が増加していた。従って、葉の存在下でMEL生合成遺伝子の発現が誘導され、MELが生産されていると考えられる。これらの結果から、P. antarcticaは植物表面でもMELを生産していることが示唆された。
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