2012 Fiscal Year Research-status Report
フザリウム属菌を宿主としたセスキテルペンの代謝工学
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23658084
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
木村 真 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (20261167)
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Keywords | セスキテルペン |
Research Abstract |
まず、チミジンキナーゼ遺伝子をネガティブセレクションマーカーとして用い、Fusarium のゲノム上任意の位置を改変する系を確立した。次にセスキテルペン毒素のトリコテセンを大量に生産誘導させる活性を有する3-{4-methyl-2-oxo-6-phenyl-2H-furo[3,2-g]chromen-3-yl-}N-(propan-2-yl)propanamide (1) を同定した。アルテミシニンのような有用セスキテルペンの生合成に関わる遺伝子を TRI6p 転写因子の制御下の遺伝子クラスター領域で大量生産させるためには、Fusarium が培地中の C/N 比や糖源の違いを感知してトリコテセン産生を活性化させる機構をそのまま活かすことが望ましい。そこで 1 の作用機構について解析を行なった。本来ならトリコテセンを作らないグルコースを炭素源とした培地でも C/N 比が高ければ 1 を添加することによってトリコテセン産生が誘導されるようになった。このことから、1 は C/N 比の高さによって活性化が可能となる因子を活性化することはできないが、糖源がトリコテセン誘導に必要なスクロースでなくとも TRI6p を活性化状態に保ち、トリコテセン生合成遺伝子群の活性化を誘導することができることが示唆された。以上のように、チミジンキナーゼ遺伝子を利用した系を用いて Tri5 と Tri4 をそれぞれアルテミシニン生合成に関わる ADS と P450 に置換し、得られた株に 1 を添加するというアルテミシニン酸大量生産のための系が構築できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大量生産させるのに必要な Tri6 の発現レベルをさらに高めるために TEF promoter を Tri6 開始コドンの直前に挿入した菌株が準備できている。また、ADS 遺伝子、P450 である AMO 遺伝子もクローン化しており、形質転換系もマーカー遺伝子を残さずに目的の遺伝子を置換することの出来る系が確立した。以上より、あとは実際に形質転換を行なって株を樹立し、生産性を調べる段階に達しているため、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
チミジンキナーゼ遺伝子を用いたゲノム加工技術によって、Tri5 を ADS、Tri4 を AMO へ置換し、代謝産物を解析する
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
分子生物学用試薬、キットの購入等の物品費、学会参加費、研究打ち合わせ旅費等に用いる
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Research Products
(3 results)