2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23658090
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
吉村 徹 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (70182821)
|
Keywords | 発酵熱 / Aspergillus / 発熱機構 |
Research Abstract |
古くから知られているがほとんど議論されることが無かった発酵熱生成の機構について、(a)菌体外酵素などによって進行する有機物の分解に附随するエネルギーの放出、(b)本来であればATP生成へ向かうべきエネルギーがリークして生成、(c)微生物がATP分解や呼吸鎖の脱共役などによって積極的に熱を生産する、との3つの場合を想定し、天然インジゴ生産の工程である藍葉の発酵を系に研究を行った。乾燥させた藍葉に適量の水を加えることによって発酵が開始し、約40℃までの温度上昇が起こる系を構築した。発酵時の微生物叢をメタゲノムの変性剤濃度勾配ゲル電気泳動(DGGE)法によって解析したところ、Pantoea calida、Bacillus amyloliquefaciensなど6種の細菌と、Rhizopus sp.、Aspergillus sp.、Lichtheimia ramose の3種のカビの存在が示唆された。発酵時にPenicillinとStreptomycinを添加しても温度上昇には変化がなく、Nystatinを加えた場合には温度上昇は起らなかった。そこで単離した菌を滅菌した藍葉に稙菌したところ、Aspergillus sp.を稙菌した場合のみ、無処理の藍葉とほぼ同程度までの温度上昇が見られた。なおリアルタイムPCRの解析では他の2種の真菌についてはAspergillus sp.と同程度の生育があったにも関わらず、温度の上昇は得られなかった。さらに培地を藍から糠に変え、これらのカビを無菌的に植菌した系においても同様の結果を得たことから、発酵熱生成がAspergillus sp.に特異的に起る可能性を示唆するものであり、同菌には何らかの発熱装置が存在する可能性が示唆された。
|
Research Products
(1 results)