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2011 Fiscal Year Research-status Report

ケミカルプローブを用いた植物発熱装置の分子同定

Research Project

Project/Area Number 23658094
Research InstitutionUniversity of Miyazaki

Principal Investigator

稲葉 丈人  宮崎大学, IR推進機構, 助教 (00400185)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 井上 謙吾  宮崎大学, IR推進機構, 助教 (70581304)
Project Period (FY) 2011-04-28 – 2013-03-31
Keywords発熱植物 / ミトコンドリア
Research Abstract

体温を一定に保つ「恒温性」は哺乳動物や鳥類、そして一部の高等植物にみられる特徴であり、ミトコンドリアによる発熱が関与している。動物では脱共役タンパク質UCP、植物ではシアン耐性呼吸酵素AOXが電子伝達鎖上の余剰エネルギーを解消して、その過程で熱を出すと考えられている。しかしながら、UCPやAOXによる発熱分子モデルはピーター・ミッチェルの化学浸透圧説をベースとした理論モデルであり、実験的な証明には至っていない。そこで申請者らは、ケミカルバイオロジーやオミクス解析などのアプローチを用いて、植物における発熱分子機構の理解を目指すこととした。 本年度はまず、発熱植物ザゼンソウを用いて、トランスクリプトーム解析により発熱時期特異的に発現している遺伝子を探索した。その結果、発熱時期においてはミトコンドリアタンパク質をコードしている遺伝子の発現が上昇していることが明らかになった。一方、発熱が終了した時期においてはプロテアーゼ遺伝子が高発現していることも明らかになった。また、ザゼンソウの発熱は花が密集している「肉穂花序」で観察されることが知られているため、非発熱植物のシロイヌナズナの花序における遺伝子発現プロファイルとザゼンソウのものとを比較した。その結果、シロイヌナズナの花序ではミトコンドリアタンパク質をコードしている遺伝子は高発現しておらず、ザゼンソウの花序における遺伝子発現パターンとは大きな違いが見られた。以上の結果から、発熱時期特異的に発現しているタンパク質群には特徴があり、これらが発熱装置の実体を構成している可能性が示唆された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

当初計画ではケミカルバイオロジーを前面に出したが、東日本大震災により東北地区でのザゼンソウサンプリングが困難な状況になった。そのため、オミクス解析により候補遺伝子を同定し、それらを再構成するという方法で対応することにした。その結果、細胞内の発熱部位であると考えられているミトコンドリアに局在するタンパク質の中から、実際に発熱に関係あると思われる遺伝子を多数同定できた。発熱装置のin vivo及びin vitro再構成に向けたタンパク質発現系の構築も順調に進んでおり、総合的に見れば当初計画で期待された成果が得られている。

Strategy for Future Research Activity

今年度は、前年度に同定した発熱時期特異的タンパク質を詳細に解析し、実際に発熱装置として機能するかを調査する。まず、大腸菌内で目的タンパク質を発現させ、精製する。さらに、精製したタンパク質を用いて当該タンパク質に対する抗体を作製する。さらに、精製タンパク質をリポソームに組み込み、実際に発熱が検出できるか調べる。申請時に比べると当該分野の研究が大きく進展し、最近の文献によると温度プローブも開発されつつある。したがって、当初提案に固執することなく、新しい知見も取り入れながら研究を行っていく。 また、現在までに同定した発熱時期特異的遺伝子の解析をさらにラージスケールで行う。具体的には次世代シーケンサーを用いたトランスクリプトーム解析により、発熱時期特異的な遺伝子を網羅的に同定する。これらの遺伝子の共発現解析を行い、発熱装置候補分子のin silicoでの同定を試みる。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

研究補助員の雇用費として1,000千円を計上する。また、消耗品費として750千円を計上する。消耗品費は主に分子生物学関連の試薬や、プラスチック消耗品の購入に使用する。大型の設備備品はすでに現在の研究機関に備わっており、これらを活用する。 また、サンプル採取のための旅費を200千円程度計上する。これは、ザゼンソウのサンプリングのために岩手県などの群落地に出張に行く必要があるためである。加えて、研究代表者が国内での学会発表に参加するための費用を100千円予定している。

  • Research Products

    (3 results)

All 2012 2011

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (2 results)

  • [Journal Article] The gene expression landscape of thermogenic skunk cabbage suggests critical roles for mitochondrial and vacuolar metabolic pathways in the regulation of thermogenesis.2012

    • Author(s)
      Ito-Inaba, Y., Hida, Y., Matsumura, H., Masuko, H., Yazu, F., Terauchi, R., Watanabe, M. and Inaba, T.
    • Journal Title

      Plant, Cell and Environment

      Volume: 35 Pages: 554-566

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 遺伝子発現プロファイルから見えてきたザゼンソウの熱産生におけるミトコンドリアおよび液胞の役割2012

    • Author(s)
      稲葉靖子, 飛田耶馬人, 松村英生, 増子潤美, 矢津芙美子, 寺内良平, 渡辺正夫, 稲葉丈人
    • Organizer
      2012年度日本植物生理学会年会
    • Place of Presentation
      京都産業大学(京都府)
    • Year and Date
      2012年3月16日
  • [Presentation] 発熱植物ザゼンソウの遺伝子発現及び遺伝子機能の解析2011

    • Author(s)
      稲葉靖子, 飛田耶馬人, 矢津芙美子, 松村英生, 寺内良平, 稲葉丈人
    • Organizer
      平成23年度日本農芸化学会西日本支部・中四国支部合同大会
    • Place of Presentation
      宮崎大学(宮崎県)
    • Year and Date
      2011年9月17日

URL: 

Published: 2013-07-10  

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