2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23658095
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Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
日び 隆雄 福井県立大学, 生物資源学部, 教授 (00285181)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 貴文 福井県立大学, 生物資源学部, 講師 (10402827)
西矢 芳昭 摂南大学, 理工学部, 教授 (70612307)
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Keywords | psychrophilic / enzyme / protein engineering |
Research Abstract |
本年度は、ウリカーゼ好冷性変異体のX線結晶構造解析と枯草菌由来耐熱性酵素の変異解析を実施した。 ウリカーゼW279L+P287G変異体のX線結晶構造解析については、2.1オングストローム分解能のX線回折強度データを収集し、立体構造モデルを得た。得られた2.1オングストローム分解能結晶構造モデルと野性型2.2オングストローム分解能結晶構造モデルを比較した結果、インターフェースループIIおよびそのループに連なるストランド周囲にわずかな構造変化が生じる事が示唆された。本研究結果については、AsCA2012(アジア結晶学会)において報告した。好冷性変異体で生じた内部構造変化の詳細を明らかにするため、結晶化条件等の精密化について引き続き検討を行っている。さらに微小な構造変化と酵素活性との相関について蛍光測定等を実施する予定である。 枯草菌由来耐熱性酵素の調製とその解析については、ループのヒンジ領域の推定方法の検討と変異体作製を行った。 1)ループのヒンジ領域の推定方法について: 主として溶媒露出面積と温度因子から予測することに加え、活性中心残基との距離に基づいて優先順位をつけることで変異標的を決定した。 2)枯草菌由来耐熱性酵素の変異体作製について: 標的としてアミラーゼ10カ所、キシラナーゼ7カ所の候補残基についてsaturation mutagenesisを行い、各90コロニーを選抜し、酵素活性について調べた結果、6カ所および3カ所の変異について好冷性変異体を得た。今後各変異体の速度解析および構造解析を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ウリカーゼW279L+P287G変異体のX線結晶構造解析 23年度中に2.1オングストローム分解能結晶構造モデルを得た。本成果については、AsCA12(アジア環太平洋結晶国際学会)において発表を行った。bUOD W279L+P287G変異体構造のゆらぎに関する蛍光分析については十分な強度変化が得られず予定していた解析は行えなかったが、fluorescence shift assayによる安定性評価が有効であることが分かったため、これまでの熱測定結果との比較解析を行い、安定性が維持される構造の詳細について検討している。今回得られた知見は、枯草菌由来耐熱性酵素の熱安定性評価のハイスループット化に応用することができた。 枯草菌由来耐熱性酵素の調製とその解析 αアミラーゼとキシラナーゼについて耐熱性酵素を調製した。ループのヒンジ領域の推定を行い、アミラーゼ10カ所、キシラナーゼ7カ所の候補残基を特定した。これらについてsaturation mutagenesis法による変異導入を行い、好冷性変異体候補を取得した。いずれも熱安定性はこれらの構造解析については今後の予定としている。
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Strategy for Future Research Activity |
結晶構造については結晶化条件の精密化を行い、さらに高分解能構造の取得を目指している。蛍光分析は困難であったことから、現在、得られた立体構造モデルを用いた基準振動解析等による計算シミュレーションについて検討し、ウリカーゼ好冷化の分子機構について検討している。 枯草菌由来耐熱性酵素の好冷化については、好冷性変異体酵素が得られたことから、変異部位の組み合わせによる新たな好冷性変異体の調製に取り組んでいる。優れた高活性のものが得られた時点で、詳細な速度解析や熱測定を実施する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費の50%程度は変異体調製や速度解析等に必要な試薬・器具類の購入に用いる。残りの50%程度は論文作成の費用、もしくは特許作成が必要な場合は特許出願の費用に充てることを予定している。
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Research Products
(3 results)