2011 Fiscal Year Research-status Report
光エネルギーを用いたニトロゲナーゼによる水素ガス生産
Project/Area Number |
23658097
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Research Institution | Nihon University Junior College |
Principal Investigator |
志澤 泰彦 日本大学短期大学部, 生物資源学科, 講師 (30413131)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | ニトロゲナーゼ / 水素ガス / バイオリアクター |
Research Abstract |
Streptomyces thermoautotrophicusは,一酸化炭素を唯一の炭素源として好気的に生育する放線菌である。この菌は,窒素源が枯渇した場合には大気中の窒素を固定することが可能である。すなわち,酸素共存下においても,活性を維持したニトロゲナーゼ系をもつという点で非常にユニークな放線菌である。本研究の目的は,この酸素耐性のニトロゲナーゼを用いて水素ガス発生のバイオリアクターモデルを構築することである。そのためには,活性をもつニトロゲナーゼを大量に取得することが肝要であり,つまりは菌の大量培養系の確立が求められる。ドイツ・バイロイト大学では,一酸化炭素を用いて大量に培養する系が実働している。しかし,一酸化炭素の人体に対する危険性は極めて大きい。そこでわれわれは,この菌が一酸化炭素の代わりに水素/二酸化炭素を用いても培養可能であることを利用することにした。実験室レベルの10Lファーメンターを用いて,水素/二酸化炭素系を用いた大量培養系の確立を目指した。大型の水素ボンベによる長時間のガス供給は危険を伴うことことから,この研究費にて購入したガスクロ用水素ガス発生装置を水素源として,炭酸ガスボンベおよび空気コンプレッサーにて通気培養することを試みている。これまでに,培地中に窒素源であるアンモニウムイオンが共存する場合には,倍加時間約6時間で大量培養することが可能となった。現在,窒素源飢餓状態での培養条件を検討している段階である。窒素源の培地中での含有差異によって,生じるニトロゲナーゼの発現量の違いについても定量中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
東日本大震災の影響もあり,研究費交付の時期が遅れ,実際に水素ガス発生装置が導入されたのが10月中旬であったことも研究遅延に影響を少なかず与えることになった。試行錯誤的な実験のために実質の実験回数が限られて培養条件の検討に遅れを生じた。これにより当初予定しいたニトロゲナーゼの精製完成には至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
培地中の窒素源の有無によりニトロゲナーゼ活性がどの程度影響受けるのかを調べ,大量に効率よく酵素精製するための培養法を確立することを急ぐ。その後については,当初の研究計画に従って順次進めて行く予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前年度にニトロゲナーゼ精製のために使用するカラム担体については,実験の遂行に遅れが生じたため購入を延期し,予算を繰り越した。今年度は,この酵素精製に取り組むため,改めてカラム担体購入に予算が必要である。また,その精製の際に酵素活性測定を効率化するために,プレートリーダーの購入を検討している。
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