2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23658099
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
鈴木 義人 茨城大学, 農学部, 教授 (90222067)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | ゴール / オーキシン / サイトカイニン / シバヤナギ / ハバチ / 虫えい |
Research Abstract |
本研究の目的は,昆虫によるゴール形成と植物ホルモンの関連性に関し,オーキシンやサイトカイニンの生合成過程を明らかにすること,また情報伝達の解析や投与実験により,それらがゴール形成に関与していることを明らかにすることを目的としており,本年度は以下のような研究実績を上げた。1.非ゴール形成者であるカイコを用いたインドール酢酸(IAA)生合成過程の解析の結果,インドールアセトアルドキシム(IAOx)が重要な中間体であること,トリプトファンからIAOxへの変換が律速段階であることが判明した。また,この変換過程がハバチでは強化されていることことが明らかとなった。2.寄生者であるハバチ幼虫が高濃度のサイトカイニンを含んでおり,また,産卵時に卵と共に分泌する卵台液にも異常に高濃度のサイトカイニンを含んでいることを明らかにした。経時的な内生量の解析結果を含めて考えると,サイトカイニンも昆虫が自ら生合成する可能性が高く,昆虫のゲノムコードの酵素,あるいは共生微生物の持つ酵素を対象とした生合成過程の解析に焦点を当てるべきであるという方向性が明らかとなった。3.寄主のシバヤナギの野生の葉やゴールからのRNA調製が難航したが,再現性良く良質のRNAの調製法が確立できた。オーキシンやサイトカイニンの生合成鍵酵素,情報伝達系上の応答性遺伝子などの発現解析の結果,ゴールにおける両植物ホルモンの情報伝達の促進が確認された。4.ヨモギにタマバエが形成するゴール,ハルニレにアブラムシが形成するゴールなど,当初の予定にない材料についても,IAAやサイトカイニンの分析,各種マーカー遺伝子の解析を進め,両ホルモンの重要性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マーカー遺伝子の解析,サイトカイニンの分析など,予定通りに進行した研究に加え,当初予定していなかったゴールにおける解析も進行させることにより,ホルモン類の関与に関して普遍性と特異性を考えるための重要な知見が得られた一方,マーカー遺伝子のin situ hybridizationや生物検定系の開発などに遅れが見られる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り,マーカー遺伝子発現の局在性解析,生物検定系の確立,オーキシンの生合成酵素の特定などを進めると共に,サイトカイニンが寄生者によって合成される可能性を,生合成の酵素の特定を含めて目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主にタンパク質の精製,同定や遺伝子のクローニング,発現解析を行うため,試薬等の消耗品に使用する。また,学会発表の際の旅費にも使用する。
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Research Products
(5 results)