2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23658099
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
鈴木 義人 茨城大学, 農学部, 教授 (90222067)
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Keywords | ゴール / オーキシン / ジャスモン酸 / 生合成阻害剤 |
Research Abstract |
既に昆虫においては,ゴールの形成,非形成に関わらずトリプトファンから活性型オーキシンであるインドール酢酸(IAA)が生産されること,また,その中間体としてインドールアセトアルドキシム(IAOx),インドールアセトアルデヒド(IAAld)が想定される結果を示してきた。また,これまでのゴールおけるオーキシン応答性遺伝子の発現解析結果は,ゴール形成への昆虫生産性IAAの関与を強く示唆した。昨年度はそれを実証するためのアプローチとして,昆虫におけるIAA合成阻害剤の探索を行った。化合物ライブラリーの約2000化合物について,カイコの絹糸腺より調製した酵素液によるIAOx→IAAの変換阻害剤を探索し,8つの候補化合物を得た。そのうち特に阻害活性の高い阻害剤Aを得た。また,ゴール形成昆虫であるハバチより調製した阻害剤に,上記8化合物を供したところ,阻害剤Aに加えて,阻害剤Bが更に強い活性を示した。また,これらはTrpからのIAA合成も阻害したことから,IAOxが生合成中間体であることが更に支持された。これらの化合物の阻害ステップを逐次的に調べたところ,IAAld→IAAのステップを阻害することが判明した。また,スクリーニングの副産物として,IAAの生産量を数倍に増加させる化合物も見出すことが出来,ゴール形成への昆虫生産性オーキシンの重要性を探る上での重要な道具が得られた。 一方,オカボノクロアブラムシがハルニレに形成するゴールについては,植物の食害抵抗性の反応として一般的な揮発性物質の生産がゴールでは欠損しており,ジャスモン酸応答性の遺伝子の発現解析によって,ジャスモン酸応答性が低下していることが原因であると示唆された。このことより,ハルニレゴールはアブラムシにとって都合の良い組織に改変されていると考えられ,ゴール形成の適応的意義に関して新たな知見を与える結果となった。
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Research Products
(5 results)